谷川岳 一ノ倉沢 一・二ノ沢中間稜

2017年3月5日
薄田、河合(記)

白状すると、一ノ沢右壁左方ルンゼのつもりが、ルート間違えました・・・

河合は積雪期の一ノ倉沢、今回が初めて。氷、雪壁、雪稜が漏れなく楽しめるという一ノ沢右壁左方ルンゼに薄田さんと行くことにしました。週の前半から気象予報や降雪データと睨めっこ。金曜夜行できないので登るは日曜。しかし、金曜に藤原や湯沢で降雪のデータ。しかも土日は気温かなり上がるらしい。これは雪崩る前、なるべく早く左方ルンゼ抜けるしかないと、ヘッデン登攀に決定。

2:15登山指導センター発。3:15一ノ倉沢出合着、3:50発。真っ暗。一の沢へのトレースに入りました。しばらくトレースが続いていたので忠実にそれに辿って、「右寄り」に歩いたところ、トレースは続いていましたが前日のものではないようで、「東尾根、土曜誰も行かなかったのかな?…GPSを軽く確認すると右寄りのような…でも沢地形入ってるしなぁ…でもちょっと幅狭いかな…東尾根行ったことないしこんなもんかな…」この違和感をその場でしっかり検証すればよかったのですが、膝~膝上のラッセル(軟雪で状態悪く、日が高くなっての同下降はヤバい)、真新しい雪崩破断面、短足には厳しいシュルンド乗越×2でそちらに集中しすぎていました。
出合から2時間登って辺りが明るくなってきて、全然出てこない左方ルンゼ、明らかに東尾根に行くと思しきパーティがはるか下で右岸側の尾根の影に消えていくのを見て、やっとルートを間違えたことに気づきました。1150m地点の二股を右に行ってしまった…一ノ沢入ってからは左寄りに行かないと迷い易いと、後で向畑代表に教わりました。後悔しても後の祭り。今更降りて登り返す時間も気力もないので、そのまま詰め上げて一、二ノ沢中間稜に出ました。6:20。標高1380m地点です。

絶望のトレース。あぁ・・・

枝沢を詰め上げた地点。右は中間稜。

一、二ノ沢中間稜には前日のものと思われるトレースがついていました。時間も早いのでまったり休みながら登ります。右に衝立岩や滝沢リッジの絶景。大氷柱は下部が途切れかけており、烏帽子スラブはさっそく雪崩。滝沢リッジにトレースあり。
中間稜は急な木登り

大氷柱は下部が途切れていた

傾斜は結構きつく、ヤブヤブしてましたが、その分灌木がホールドに使えます。細い枝は角度と持つ場所間違えると折れそうでしたが。薄田さんは括り付けたストックが枝にひっかり難渋していました。途中1箇所、急な場所でロープ出し(残置支点あり)、ハイライトのナイフリッジに来ました。
途中ロープを出した地点。確保用残置あり。

東尾根側のすごい所にカモシカ。声かけたけど「シカ」トされたby薄田さん。

河合リードでダウンクライム、トレースあったので楽勝。25mロープ伸ばしてコルの良いピナクルでピッチを切り、次は薄田さんが50mいっぱいロープ伸ばし、安定した雪面でピッチを切りました。う~ん、素晴らしいナイフリッジ!後は確保せず只管東尾根まで詰め上げました。
ナイフリッジを振り返る

10:30 東尾根1800m地点と合流。西黒尾根側は雪庇なので東側のグズグズのトレースを忠実に辿りトラバース。結構緊張。
東尾根の雪庇トラバース

最後の急登

第1岩峰は右から巻きましたが、途中でトレースが途絶えていました。フィナーレの雪庇乗越は、雪が柔らか過ぎたので左から巻いて、10:50オキの耳山頂に到着。出合から7時間。中間稜にトレースなかったらロープ出す回数増えて、もっと時間かかったと思います。
後は腐った雪の中、西黒尾根を下降。アイス用に履いてきたアイゼン「ダート」はアンチスノープレートついてないので、雪団子地獄。加工して着けようかな。
初の積雪期一ノ倉沢で気合入ってましたが、大ミスで不完全燃焼。でも、中間稜自体は素晴らしいルートで楽しめたし、さくっとトップアウトできたので贅沢を言ってはいけないです。反省を活かし、次はちゃんと左方ルンゼから中間稜に出よう。