奥多摩 大雲取谷

2001年5月26日から2日間
赤井、櫻井(記)


大雲取谷は、苔むした岩の間の豊かな水流、ブナやかえでの木漏れ日の明るさを喜ぶために行く谷だ。

大きな滝の登攀や息詰まるようなゴルジュの突破を求めて入るとがっかりすることになるだろう。

夜行日帰りで充分な行程だけれど、土曜の午後から登りはじめると他のパーティーといっしょになることもなく谷の奥で一泊することで山に浸ることができる。

私には、ときどきこんな山をやりたくなることがある。

5月26日

13:00唐松谷出合い吊り橋、16:30熊穴窪出合い、17:00ヒタゴヤ窪出合い、泊

何ヶ所か緊張する高巻きやへつりがあったが、ロープは出さずに終わってしまった。

途中、流れの中にカモシカの死体が3つ。

うち2つは毛皮を残して白骨化していた。

天気は曇りで時々弱い日差しがある程度。

日向窪から先にはテントひとつ程度なら張れるところがたくさんある。

上等な日本庭園のような景色のなか、かつぎあげたビールで今年初めての沢に乾杯。

5月27日

7:30発、9:30雲取山、富田新道を下って唐松谷出合い、11:30林道

なるべく頂上に近い所まで沢筋を詰めていったら、山小屋の取水場に出た。

ここまで、思ったよりも滝があったりしてアスレチックだった。

もちろん源頭の苔むした美しさも満喫した。

岩に付く苔にも新緑があるようで、非常に明るい緑が新鮮だった。

この日もカモシカの死体2つに出会った。

さんざん飲んできた沢の水になにか味でもあったかな?と思い出してしまった。

2月の大雪で食糧に不足して餓死したのだろうか。

この5月の命溢れる明るい沢からは想像できない厳しさだったのだろう。

ちょっと急になった斜面をやぶこぎも無く登ると、主稜線にポッと出る。

頂上はすぐそこに見えていた。

重荷でふーふー言った剱の春山から3週間ほどしか経ってないのが不思議な感じだ。

こんな、浸る山もたまにはいいでしょう、赤井さん?

 

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