1997年5月31日~6月1日
森広(記)、板橋
吉田口から火口壁にに出て、火口をのぞくとそれらしい氷瀑が見える。銀名水へ向かって火口の縁を歩きながら観察する。登るラインは何通りか取れそうだが、特に上半分は不安定に見える。31日は銀名水付近に泊まり、1日に火口の中に降りる。
1日は快晴。気温が上がってくると雨のように水が滴ってくるし、細かい氷片や石まで落ちてくる。左寄りは氷が薄く、氷柱も細い。中央は下まで達しないので、右寄りから登る。一段登って岩の凹角の下から氷柱に取り付くが、正面は壊れて登れなくなったので、左に回り込む。傾斜の緩いところには中途半端に固まったザラメ雪が載っているので、バイルはあまり効かない。ザラメ雪の下には氷があるはずだが、とどかない。スクリューもほとんど効いていないようだ。腕よりも細い氷柱は触れるだけで折れてしまう。
下部はそれでも太めの氷柱があるが、傾斜の強くなる上部は細い氷柱しかない。近くで見るととても登れるような状態ではない。岩の凹角から登って左にトラバースするとしても、一番氷柱の細い所を通らなければならない。3段ほど登った所から敗退。
ここまで登るには登ったが、降りるのはかなり怖い。板橋君に凹角の下まで登ってきて確保してもらい、慎重にクライムダウン。凹角下から岩にハーケンを打って懸垂下降で戻る。岩は脆くてハーケンの効きもいまいちなので、そっと降りる。
今年は雪が少ないから氷の発達も悪いのか、気温の変化がうまくいかなかったのか、この氷瀑を登るチャンスを捕まえるのは、難しそうだ。