1999年5月8日
関(記)
今シーズンの雪稜の締めくくりとして、変なところに行ってきましたので報告します。
山域は、鹿島槍ヶ岳の北俣本谷から東尾根につきあげる支稜で、登山大系をめくると、ルートの記述はないものの概念図に第2岩峰南尾根と名付けられています。
昨年杉浦さんとダイレクト尾根を登った時に、対岸になんとなく気になる尾根を見つけてから鹿島槍へのラインとして意識していたものです。
南面の急傾斜の尾根なので雪がだいぶ落ちていましたが、変化に富んでいて充足の山行となりました。
この尾根が完全に雪でコーティングされた時に登ると一層面白いのではないでしょうか。
5月8日
天気予報では快晴を告げていたが起きると雨が降っている。
大気の状態が不安定なのだろうか。
4時の出発予定だったが、雨=中止という考えが染み付いている私にとって雨具を着て出発するという考えはなかなか起きず5時まで車の中でグズグズしていた。
小降りになったところで雨具を着て出発、30分も歩き出すと次第に大町の方から晴れ出して来た。
北俣本谷に入り間もなくすると目指す第2岩峰南尾根が見えてくる。
末端はヤブ壁になって本谷に落ち込んでいる。
一番の弱点となるラインは対岸の鎌尾根の取り付きとほぼ同じ所まで稜がのびており、これをつめてヤブ壁の末端にたどり着く。
(7時)ここでハーネス、アイゼン等を装着する。
尾根に這い上がるまでは密度の濃いヤブの木登りとⅡ,Ⅲ級の岩稜が交互に続く。
急傾斜のヤブに腕は引っかき傷だらけとなり、腕の筋肉も張ってくる。
尾根上に這い上がると、鹿島の主稜線が目に飛び込んできた。
(9時頃)ここからルートは雪稜らしくなり、ナイフリッジの急登が続くが、雪が少ないのでやはりヤブまみれになることとなる。
それでもこの尾根の核心部である下部をぬけたので幾分ほっとしていた。
上部に行くに従い雪も増え、途中に5~10mの小ギャップが2箇所ありいずれもクライムダウンとなる。
ここには古い残置シュリンゲがあった。
東尾根を右手に睨み早く合流しないかなと期待しつつひたすら雪壁状の斜面を登ると、1時半頃ようやく東尾根の第2岩峰上に合流した。
北峰に着いたときには疲れきっていたので(2時半)北俣本谷経由で下山すると2時間で大谷原に戻ることが出来た。
下山して薬師の湯に入ると前日はほとんど寝ていないこともあって疲れがドッと出て、ロビーのソファで寝てから帰途についた。
翌日は平松の49日でした。