1999年6月13日
関、瀧島(記)
晴れ。
足拍子岳はせこい里山である。
でもその中には日本土着の山の楽しさが凝縮されていて日帰りでも十分に楽しむことができる。
また、悪いスラブや雪渓、ルートファインディングの難しさなど、はまる要素もたくさんありそれがまた楽しみのひとつだと思う。
今回も楽しく充実した1日を過ごすことができた。
旭原の手前の林道をゲートまで車ではいる。
車発(5:40)足拍子本谷はすぐに雪渓となり、ホソドノ沢出会いで水筒に水を入れ忘れていることに気づき側壁のしずくの滴りで何とか水筒を満タンにすることができた。
(6:40から7:10)ホソドノ沢を10分上ると取り付きである。
ダイレクトスラブの取り付きのF1(40m)の正面はへたな左官屋さんがコテでならしたようなスラブでボルト連打でもしないと無理だ。
左岸のカンテからガリーをたどる。
雪渓から岩に取り付くところが少し怖くて、堅い雪渓にバイルを打ち込み確保し太郎君がトップで取り付く。
左岸を4ピッチでF1の上のスラブの中央に立つ。
6ピッチ目が核心のF2で堅いフェースを登る快適なピッチだった。
ダイレクトスラブは上部が3本に分かれて、今回は向かって右側の右方ルンゼに入ったようだ。
稜線まで11ピッチのクライミングだった。
稜線は昼過ぎ。
ここから前手沢を下るか、縦走してから足拍子本谷を下るか迷ったがこの山域の概念をつかむ意味も含めて縦走してから足拍子本谷を下る事にした。
稜線上にはかすかな踏跡がある。
足拍子岳本峰のふたつ手前くらいのコルから懸垂を1回と後は歩いて雪渓の上に降り立つことができた。
安心したのもつかの間、雪渓の状態はやっぱり悪い。
今にも崩れそうな幅1メートル程のスノーブリッジの上を懸垂で下ったり、ぶったぎれた雪渓をいかにして渡るかなど、いろいろと課題を与えてくれる。
なんやかんやで車に戻ったのは夕方になっていた。
旭原に続く車道に出てから、今一度、夕暮れの足拍子岳を心地よい疲れを感じながら眺めた。
幸せな気分だ。
本谷の雪渓がぶった切れているのがよく見える。
コンパクトにまとまった荒々しい姿。
こんな山が好きだ。
太郎君、誘ってくれてありがとう。