大井川水系 寸又川支流・栗代川(遡行)~小根沢(下降)

2018年10月13日~15日
中和(単独、記)

栗白川は数年前から計画していたが、天気が悪かったり沢靴を忘れたり、今年だけで3回流れている因縁の沢である。寸又では最も入渓しやすい沢なので、いつでも行けるという謎の安心感があったが、運良く休みを取れたので、同じく大無間を取り巻く小根沢とセットで遡下降した。

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概要:
2018/10/13(土)~2018/10/15(月)
大井川水系 寸又川支流・栗代川(遡行)
大井川水系 寸又川支流・小根沢(下降)

コースタイム:
10/13(土) 栗代橋(6:26) – ユズリハ沢出合(8:51) – ホオジロ沢出合(10:11) – こっぱ沢出合(12:44) – 倉沢橋(14:37) – 大崩沢出合(15:01) – 岩小屋(15:11)
10/14(日) 岩小屋(6:04) – 二俣(8:07) – 稜線(9:17) – 大無間山(9:47) – 三方嶺(10:48) – 左俣出合(15:59)
10/15(月) 左俣出合(06:00) – 左岸林道(06:10) – 小根沢出合(8:51) – お立ち台(12:12) – 左岸林道起点(15:17)

行動記録:

10/13(土) 曇り、夜遅く雨
栗代橋から下を覗き込むと、栗代川も寸又川もカーキ色に濁っている。崩落地が多い南ア南部では、堆積土で濁りが長引くのは間々あり、水位も脛下程度なので予定通り入渓。茶色く濁ったゴルジュを歩くのは不気味だが、壊れた堰堤を2つ越えると穏やかな河原になり、水は澄み始めて一安心。
取水堰堤を越えた先の「八丁暗見」に入るが、淵や釜は埋まって深い場所でも膝程度。ユズリハ沢を分けた先の「曲がり渕」も同様で、かっては泳いで取り付いたという「鶴の天」ですら股程度の深さしか無く、遡行は容易。
曲がり渕を超えると、広河原となり左岸からホオジロ沢が合流。「竜言渕」と呼ばれるゴルジュに入るが、これまた浅いので通過は容易。滝を越えるのにアブミを1回使ったが、これは簡単に巻くことも出来る。
ここまで肩透かしを食らうと、核心部と言われる「龍神の瀬戸」への期待はいやが上にも高まる。黒光りする側壁は、数十メートルの高さで屹立し、風格は大渓谷のそれである。倒木が引っかかった3mの滝を右から越えると、核心部の滝である。1つ目の滝は、かつては振り子トラバースで越えたと言うが、今ではそんな面倒はいらない。釜が埋まっているので、水流に耐えて這い上がり、へつり気味に登れる。2つ目の滝も以前は泳いで水流を横断したそうだが、足が付くので、歩いて右岸に渡りバンドを登れば核心部は終了。
こっぱ沢を分けると穏やかな河原となり、歩くだけで倉沢橋に到着。橋のすぐ上は5mの滝だが、これは下部が立っており右から小さく巻く。その上の滝も越えて大崩沢を見送って、本谷(倉沢)の滝を越えると、まとまった数の流木と岩小屋を見つけたので行動終了。
が、この岩小屋、いざ入ってみると天井が低く快適さに欠ける。焚き火すると燻製になりそうなので、雨は降らないと信じ、外でごろ寝していたが無情にも深夜から雨。ツェルトに包まって黙殺していたが、全身濡れ始めて寝ている場合ではなくなり、焚き火と一緒に岩小屋に引っ越した。

10/14(日) 曇り時々小雨、夕方から晴れ
岩小屋を出てしばらく行くと20mの直瀑。これは観賞用で左岸を巻く。この先で二俣となり左に入ると、5m前後の滝が続くが問題になるものは無い。最後の二俣手前で15m程度の滝が2本連続。1本目は水流左横を直登するが一歩だけが微妙。2本目の直瀑は遠望すると高巻きかと思ったが、これも水流左横を直登。

15m直瀑

この滝を越えて最後の二俣を右側に入る。すぐに沢は3つに分かれるので、北東に向かう沢に入ると水が枯れ、ヤブのない斜面を登ればP2102と大無間のコルに出る。大好きな大無間に立ち寄りつつ、三方嶺に移動して小根沢下降点を探る。三方嶺の大崩落地が小根沢の本谷のようだが、ガスってて下降路は全く見えない。崩落地は下手に取り付くと進退窮まるので、山頂を南側に50m程下った場所から小根沢の枝沢に入る。

標高差400m近いガレとザレの集合体を下ると、一時間ほどで水が流れるガレ末端部。いくつか小滝を見送ると、本谷が右から合流してくる。ここからは10mを越える滝が連続し、水流沿いに下降できない。懸垂を2回交えつつ、右岸を小さく巻きながら下降していく。

連瀑帯

連瀑帯を抜けると、両岸立ったゴルジュに滝を重ねており、高巻きを選ぼうものなら相当上まで巻き上げられそう。ハーケン連打で懸垂かと思ったが、左岸の小ルンゼから小尾根を乗り越し、ガレを下降して巻けた。その先にも滝が2つあるが、これは左岸のバンドからガレに移行して滝下に降りる。
上流部で険しいのはここまで。後は左右から支流を加えつつ、時折ゴルジュとなるが、容易な癒し系ゴルジュ。最後のゴルジュを抜けると、だだっ広い河原となり左俣出合。ここはフルフラットな砂浜に大量の流木というリゾート地。山奥の雰囲気が心地よく、砂地に寝転び、酒と焚き火と星に囲まれてダラダラと過ごす。

10/15(月) 断続的に小雨
宿泊地から10分ほどで左岸林道に交差。林道から下山も可能だが、計画通り小根沢の出合まで下降を継続することにする。
左岸林道の下流も広い河原が続き、場違いな堰堤まであるが、徐々に両岸立ち始めてゴルジュとなる。序盤は容易なゴルジュだったが、両岸が30mくらい立った薄暗い空間になると、高巻きが絶望的な廊下に2つの滝を連ねる。最初の5m滝は容易、続く2段8m滝は圧縮された水流がS字を描いて落ちている。沢に引っかかった倒木を支点に懸垂するが、水流が強いため体を持っていかれそうになる。S字状の水流を振り子気味に横断して釜に降りる。

2段8m滝

その後も、断続的に黒光りするゴルジュと滝が出てドキリとするが、バンドが繋がっていたり、落ち込み程度だったりで、ロープ出す事は無い。頭上を森林鉄道の鉄橋が横切ると、15mの滝を落として寸又川の本流と交わる。本流は茶色く濁って水流も強そうなので滝下には降りず、林鉄の軌道跡に上がり下降終了とした。

後は下山のみだが、小根沢左岸の尾根を300mくらい登り返して左岸林道に復帰すれば、残るは林道起点まで約20kmの林道歩き。この林道は全長40kmを超える長さで悪名高いが、今では崩落の悪さに定評がある。今回の山行では、シビアな崩落地は「お立ち台」手前の一箇所だけだが、ここの横断は中々に悪い。ガレと岩壁の境界付近を横断したが、岩壁基部をトラバースする箇所が不安定で、ビビリながら通過。崩落地の上の樹林帯を大高巻きするのが安牌。

左岸林道

お立ち台から先は、以前より崩落が進んでいるものの、手を使う場所は無い。0.5kmごとにキロポストがあるので、数字に一喜一憂しながら林道起点に至る。

遡行図:
「赤石沢よりはるかに悪い」とまで言われた栗代川は、ほぼ全ての淵と釜が埋まって、その魅力は著しく衰微している。現状では倉沢橋より下流のみでの遡行価値は無く、本谷(倉沢)や大崩沢を詰めるか、他の沢へ継続しないと物足りない。

遡行図_栗代川

小根沢は予想以上に面白い渓谷で、源頭のガレに始まり、大滝、ゴルジュと目まぐるしく渓相が変化する。かといって極端に難しくもない。中流の河原が冗長な感もあるが、段丘が発達して泊まり場として非常に優秀。遡行記録が少ない渓谷だけに、どんな滝やゴルジュが出てくるかワクワクしながら下降できた。

遡行図_小根沢

南ア 光岳南面の沢

2018年7月13 ~ 16日 (3泊4日)
中和(単独、記)

大井川水系の最大支流・寸又川。
南アルプス深南部と呼ばれる山域を構成する一大渓谷であり、その支流には無数のゴルジュや大滝を秘めている。この流域の愛好家としては、源流にあたるリンチョウは、いつか遡行したい沢の一つであった。

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(1) 概要

・期間:7/13 ~ 7/16 (3泊4日)
・対象:信濃俣河内・中俣 (遡行)、寸又川・椹沢(下降)、寸又川・リンチョウ(遡行)

(2) コースタイム

D1: 畑薙ダム(05:18) → 西河内出合(08:03) → 三俣(10:22) → 百俣沢出合(14:15) → 幕営地(17:10)
D2: 幕営地(04:42) → 木積の滝(06:05) → 稜線(09:24) → 椹沢出合(16:16) → 幕営地(16:30)
D3: 幕営地(04:45) → リンチョウ出合(05:04) → ダルマ沢出合(08:33) → オニクビリ沢出合(13:29) → 稜線(15:48) → 幕営地(16:30)
D4: 幕営地(05:00) → 光岳(05:15) → 三俣(09:50) → 西河内出合(11:01) → 畑薙ダム(13:31)

(3) 山行記録

7/13(金) 晴れ

信濃俣林道入口に駐車し、自転車で林道終点まで移動。
吊橋横のガレをフィックスロープを利用して畑薙湖に降り立つ。
いきなりバックウォーターの泳ぎだが、足が付かないのは10m程度で、後は湖水の横を歩くことができた。

信濃俣河内は、三俣までは基本的に何もない沢で、河原歩きと渡渉に終止する。今回は竿を持ってきたので、西河内出合から釣り上がりながらの遡行。オカズの調達の成功したので、三俣で竿は仕舞う。

中俣は出合からゴルジュとなり、少し進むと1mにも満たない小滝。
なるべく水流沿いに遡行したいので、水流左横を狙うが、釜が洗濯機になっており、渦に体を引き込まれて、水から這い上がれない。
何度かやっても突破できず、左岸を巻いた所、この上にも大水量の5m滝と渦巻いた釜が見え、まとめて巻いた。両岸立った地形はさらに続くが、特に問題になる場所はない。

右岸から比較的水量の大きな沢を2本見送ると百俣沢出合。中俣と百俣沢が1つの釜に落ち込んでサラシ場を形成しており、水流沿いの遡行は不可能。左岸の枝沢から巻いて懸垂で滝上に降り立つ。
この滝上から始まるゴルジュが第二の核心で、5m以下の滝2本をヘツリ気味に抜けると、ハング気味の5mの滝。右岸の壁を空身で上って高巻き、荷揚げしたのち懸垂で落ち口に戻れば核心は終了。
この先も10m内外の滝が連続するが、難しいものはない。シャワーを交えて楽しく越えられる。標高1600mあたりで、左岸に台地を見つけたので、ここで幕とした。

7/14(土) 晴れ

幕営地を出てからも延々と5m前後の滝が続き、そのフィナーレが木積の滝。
どんな由来か不思議な名前だったが、一目見て納得。流木が積み木のように重なっており、実に即物的な名前である。

この滝を右から巻くと、イザルヶ岳からの沢と当量で分かれる。
左側に入ると、両岸が崩落地のようになり、やがて完全な崩落壁の様相を呈する。
滝は容易に登れるものが多いが、崩落地の中である故に岩が脆く、快適とは言い難い。最後の二俣直下の小滝を巻こうとしたところ、急なザレで下降が困難。
大高巻きに追い込まれたが、二俣左の沢に復帰し、水涸れまで詰めると稜線は至近。藪こぎも無く柴沢への分岐点の真横に出た。

ここからは椹沢を下降路にとるため、柴沢登山道を標高2150mあたりまで降りてから入渓。
この沢の上流部は、小滝が数本ある程度で、全く平凡な渓相である。
二俣を過ぎると断続的に小ゴルジュがあり、数回懸垂したが、遡行であれば、ほぼ全ての滝が水流横を登れるだろう。
ゴルジュ群を抜けると、開けた河原が暫く続いたのち、寸又川本流に合流する。

本流からは、竿を出しながらペタペタ歩いて行くと、大量の流木が打ち上げられた河原を発見。
細いものから太いモノまで何でもある上、全てカラカラに乾いている。こんな国宝級の薪が、数百本転がっているのだ。最高の宿泊地なので、釣り竿はほっぽりだして、キャンプファイアに励んだ。

7/15(日) 晴れ

宿泊した河原のすぐ後ろが林道なので、リンチョウ出合まで林道を移動。
すると突然、上からの激しい落石音と共に、若いメス鹿が10mくらい先に落ちてきた。鹿氏は、痙攣するのみで全く動けないようだが、私に出来ることは何もない。

リンチョウ下部は、広葉樹の中に穏やかな渓が続けた後、リンチョウ滝に出合う。正面から見ると難しそうだが、近づいてみると水流右が容易。空身で登って荷揚げした。
リンチョウ滝の上からは巨岩帯となるが、その上は明るく開けた河原となり二俣(ダルマ沢出合)。ダルマ沢を下降してきたと思しき2人パーティが見えたが、先に行ってしまった。

二俣を少し行くと、核心と思われる第一ゴルジュ。先行パーティが右岸を巻いているようで、落石や倒木がゴルジュ内に降り注いでいる・・・・
巻く方が早そうだが、主目的である沢の核心を安易に巻くのは考えられず、ゴルジュ突破を試みる。1本目の3m滝は容易で水流右を直登。2本目の5m滝は厄介で、右からの突破を試みたが、泳ぎもヘツリも何度やっても通用しない。やむを得ずロープを出して左側を攻める。左壁をアブミで2m程上がり、バンドをトラバースして何とか突破。3本目の6m滝は右側からフリーで超えた。

その先の第二ゴルジュは、5m滝をかけているだけの小規模なものだが、明らかに直登困難なので右岸の枝沢から巻く。
これで、この沢の核心は終わり。水量が多いオニクビリ沢を見送ると、滝も全く無くなり、2100m付近からルンゼ状となり左右に分かれる。
傾斜の緩い左側に入ると、2200mくらいで水流が無くなり、急なルンゼとなって白い岩峰に詰めあげている。これを直登するのは骨が折れそうなので、左側の藪尾根を少し登ったところ、加加森からの登山道に合流できた。
テカリ手前の適当な場所まで登ってビバーク。

7/16(月) 晴れ

出発して15分程でテカリの山頂。光小屋もテン場も賑わっており、それまでの静寂な世界が嘘のようだ。
人が多い登山道で畑薙まで行くのは嫌だったので、イザル尾根を下って三俣を目指す。軽量化のため水を殆ど捨てたので、暑さで気が遠くなったが、ヘロヘロになって三俣に辿り着く。地元の3人パーティが休んでおり暫し歓談。
後は来た道で畑薙に戻るだけ。