小川山の夏休み

2002年8月29日から4日間
K嬢、Tさん、柴田(記)


今年の夏も相変わらず暑い。

子供の頃は夏が一番好きだったが、おっさんになった今は一番苦手な季節になってしまった。

だいたい自分が子供の頃はこんなに暑くはなかった。

現在の仕事は例年一番暑い頃に仕事量が極大化する。

終電間際の電車に揺られて帰宅(日付は翌日に変っている)、食事とシャワーを済ませて寝るのが午前1時30分過ぎという生活を7月下旬から8月20日頃まで続けてようやく繁忙期が終了し、ささやかな3日の夏休みを手にした。

元々アルパインに行きたかったのだが諸々の事情で難しそうで、秀峰会員はヨセミテに行ったり夏休みを既に取ってしまった人ばかり。

結局以前所属した会の友人K嬢とそのお友達のTさんに付き合ってもらい週末も加えて4日間を小川山で過ごす事となった。

Tさんとは今回が初めてだが、何と野辺山に山荘をお持ちで、我々は毎日朝ここから廻り目平に通い夕刻にナナーズ経由で野辺山に帰ってくるという生活パターンだった。

TさんはK嬢の師匠のような方でK嬢もTさんの指導を受けてわずか半年で5.8からイレブンクライマーに成長したとのことである。

8月29日

(Tさん、柴田の二人)

手始めに西股沢対岸の母岩・兄岩などを目指す。

【母岩】

タジスラ(5.9)FL
十分ストレッチして取り付いたはずなのに高いところのホールドに手を伸ばしたらちょっと胸が痛かった。最初ということも有り少々動きが硬い。

サドン・ストーリー(5.10a)FL
ホールドはガバが多くやさしい。

レッドストーム(5.10b)OS
傾斜の緩い左側から登り中央のクラックを使って抜ける短いルート。

パンピー(5.10c)OS
登る前に観察した際には中間部の凹角が細かそうに見えたが登ってみればどうということもなく、最後のハング越えもガバフレークを使い問題なく越えられた。5.10cのOSは初めてで気分良い。

【ままこ岩】

ルート名不詳(5.10bくらい?)
傾斜が寝た側のカチフェース。
右に寄るほど難しい。
最初は左側をリードしたが、2回目は細かい右側のフェースをTRでトレーニング登る。
終了点のロープが古くて少々不安。

【おばさん岩】

レール・デュタン(5.11a) 3便目でRP
以前登れなかった母子草5.10cを登るつもりだったが、せっかくだからイレブンを触ったら、とのTさんの声によりレール・デュタンに取り付く。イレブンとしてはお買い得なルートとのことでK嬢もここをRPしている。
最初はTさんが模範クライミングでヌンチャクを掛けてくれる。最初の細かい部分をこなしたあと上のガバをとり立ち込むまでが核心。スタンスは見かけ以上に滑るのでガバをとっても安心は出来ず、1、2便目はガバに手がかかりながらフォールしてしまう。
やはり初日からイレブンに取り付くのは早かったかと思いつつしばしレスト。
「これで最後にします」と3便目を出したが今度はうまく上のガバが掴め腕力で小ハングを越えた。十分休み上部のフェースを登るが所々で落ちそうになる。
せっかく核心を越えたのでここで落ちては勿体無いと気力で終了点に辿り着く。

【兄岩】

タジヤンⅣ(5.10a)FL
スラブ。
右からのルートとの合流の手前あたりが核心?

ピクニクラ(5.10b) X(A0 x 1回)
長くて良いルートだったがさすがに疲れてた。
最後の立ったフェースを越える所で力が尽きかけ「もういいや」とヌンチャクを掴んでしまう。
また今度登ろう。

8月30日

(Tさん、K嬢、Sさん、柴田)

Tさんの知り合いのSさんと前夜到着したK嬢を交え4人で登る。

【リバーサイド】

ブラックシープ(5.9+)OS
やや長めでいろんなムーブを要求される良いルート。
取付きが核心だったような気がする。
Sさんの無駄の無いムーブが印象的。

アウトオブバランス(5.9)FL
クラックを使い登る。

【マラ岩あたり】

レギュラー 5.10b/c(Xその後TR)

オンサイト狙いで取付くがホールドに迷っているうちにあえなくパンプ。TRでTさんの指示のままにホールドを選んだらノーテンで簡単に登れた。
うーん。こういうもんか。

卒業試験(5.10a) RP
4つめのボルトのあたりで登り方がわからず一度テンション。
2回目でRP。
ヤレヤレ。

このあとはSさんと別れてスラブ状岩壁の水曜日のシンデレラに向かう。

取付きで午後5時位だったのでK嬢と自分とで30分ずつくらいのトライかなと思っていたが、結局K嬢が1時間奮闘しているうちに暗くなったので帰る。

この日はナナーズで大量に食材を買い込みオデン大会。

夜K嬢と同じ会のHさん合流。

8月31日

(Tさん、K嬢、Hさん、柴田)

【ガマスラブ】

高い窓(5.10b)OS
バンド上のハングはちょっと左に廻り込みすぎた。途中でヌンチャクが足りなくなり、間引いたり最後は安環付カラビナを使ったりしてギリギリで終了点に到達。

穴があったら出たい(5.10a/b)OS
下部のスラブでラインを一度ミスる。
その後は特に問題なし。

水曜日のシンデレラ(5.11a) X2

(1便目)
ガマスラブで2本登りアップも充分。
先に登りRPしたK嬢のムーブも参考にしながらFL狙いで取付く。
下部にキャメロット#1を一つ使用。
微妙なトラバースとその上の遠いフレークを取る所まではクリアしたがその上のアンダーを取る手前のフェースがこなせない。せっかく無傷で来たのだからと登れないたびにクライムダウンして別のムーブを試みるがどれも上手く行かない。
何度か繰り返しているうちに結局力尽きテンション。

(2便目)
1便目でかなり消耗した上にムーブも解決できていなかったので自信はなかったがトライを継続。今回は遠いフレークを取る所であっさりと落ちてしまい緊張感が散逸して行く。
1便目で散々苦しんだ所のムーブはやってみれば簡単だった。
そのまま上に抜け上部の核心も確認して終了点に達する。
ムーブも繋がりこれなら明日は登れると明るい気分でロワーダウン。

【リバーバンクス】

チコリータ(5.10d)FL
カンテを絡んで登るルート。
体感グレードは5.10b/c位でお買い得。
これならOSトライをするんだった。

9月1日

(Tさん、K嬢、柴田)

今日が小川山合宿の最終日。Tさん、K嬢には申し訳無いが水曜日のシンデレラに今日も付合ってもらう。昨日の2回目で核心のムーブは大体つながっていたので「きっと今日最初のトライでRP出来る」そんな気持ちで取付きまでビーサンで林の中をスタスタと歩く。

Tさんが最初に登りヌンチャクを掛けてくれる。
全くいつも有り難くも申し訳無い。
ストレッチを済ませて心のリズムを合わせてビレイヤーのK嬢に「お願いします」と一声かけて静かに登り始める。

簡単な下部を越えてトラバースまでは問題なし。最初の核心は遠いフレークを取る所で1便目は左手で取れたが2便目では右手で取ろうとして失敗しフォール。でもここはやはり右手で取るのが正解ムーブのようだ。

右足を遠いクラックに決めて左足をボルト下の岩のふくらみに置いて、左手でガバを掴みつつ右手でフレークを取りに行こうとして…、気がついたら落ちていた。
とりあえず降ろしてもらい休む。

フレークに手を掛けてから落ちたようで両手とも擦り傷で少々血がにじんでいる。
Tさんは「ゆっくり休んだらいいよ」と言ってくれるが腕は結構パンプしている。
登れるかなと思っていたのに落ちてしまったことで、まわりもかける言葉が見つからないようで白い雰囲気。

いつまでもこうしていても始まらない。

今日で小川山の夏休みはひとまず終わりだが仮に今日登れなくても次にまた来て登れば良いのだと考えたら少し気が楽になった。

20分くらい休んでから「これで最後にします」と言い残してラストトライ。

下部のボルト2本目の上は落ちるとは思わないがイメージが悪いと少々苦労してしまう所。
(アルパインだとVくらいか。)
トラバースも無事越えてさっき落ちた所まで。
大分くたびれた腕をシェイクし慎重に足を決めて右手でフレークをそっと取りに行く。
取れた。
すかさず左手も添えて体を引き上げる。
下から二人の声援が聞こえる。
少々レストの後2つめの核心へ。
ここは1便目で登り方がどうしても分からずさんざん粘って結局落ちた所。
でも2便目の経験でムーブは大体分かっており問題なく越える。
すぐにアンダーを取りクリップの後最後の核心へ。
二人の声援が遠い所から聞こえる。
フレークの下のガバを右手で掴み左手は奥のフレークをアンダーで取り、左足を高く上げて後はパワーで核心を越えた。
上部で十分レストしその後のトラバースを慎重にこなす。
ここまで来て落ちる訳には行かない。
易しいフェースをブッシュを使わず忠実に登りとうとう終了点に着いた。

ヤレヤレ4便目でやっとRP。

セルフを取りながらも安心感と嬉しさが交錯。

ギア回収の為にフォローしたK嬢とラペルで下ると別パーティがやってきており足掛け4便出したシンデレラに心の中でお礼を言ってガマスラブを後にした。

気がつくと手指はボロボロのピンク色で岩に触るだけでも痛い状態。

母岩に戻り5.9を1本登った所でもう営業終了状態だったので少々早かったが店仕舞いとした。

4日間毎日快晴で幸せな日々だった。
本数は余り稼げなかったがイレブンも2本登れて満足。

本チャンには行けなかったがたまにはこうした夏休も良いもんだ、と4日間通った川上村の県道から遠ざかる八ヶ岳の裾野を眺めていた。

 

小川山 有名ルート ミーハークライミング

2000年11月5日
柴田(記)、他6名


昨年11月初めに小川山に行ったところ寒くなく登れたので今年も同じ時期の小川山ツアーを企む。

朝4時頃廻り目平入りし準備していたら駐車場で本郷さん・三好さんに偶然会った。

この時期の小川山はすいている。

今回はミーハーにもこれまで混んでて登る機会がなかった小川山ストーリーと小川山レイバックという人気ルートに目標を絞りまず父岩に向かう。

(細かく書いてしまいました。まだ登っていないOS狙いの人はここで読むのを止めてください。)

小川山ストーリー (5.9) OS

父岩の取り付きには予想通り誰もいない。

西に向いているので朝は日陰になっていて少々寒いがフリースを脱ぎ、ヌンチャクを沢山ぶらさげて登り始める。

今回はデジタルビデオを持ってきており、今野さんが左側のテラスから撮影していてくれる。

カチ系のしっかりしたホールドが続き、フリクションが充分効く上、ところどころで休めるので快適に登る事が出来る。

しかし長い。

ハンガー5個目で結構登ったなあと思って上を眺めるとまだまだ終了点が遠い。

結局全部で9つにクリップしてやっと終了点にたどり着いた。

終了点では風が強いが日があたり暖かい。

50mロープではトップロープに出来ないので2番目の千代川さんにロープを引いて上まで登って来てもらい2人でラペルで戻る。

3・4番目の片山さんと今野さんには50mロープ2本を使いトップロープにしたが50mロープで登る場合はこのルートは終了点でビレーしたほうが良いのかもしれない。

日帰りなのでのんびりとは出来ない。

小川山ストーリーを登ったあとはいったん廻り目平に戻り、行動食を食べつつ飯田ファミリーと合流し7歳のりなちゃんを交えて親指岩を目指す。

小川山レイバック (5.9) OS

写真で何度も見ているがやはり美しいルートだなあ、と思いしみじみと眺める。

ナチプロで登らねばならないというプレッシャーを感じつつ準備を整える。

考えてみたらクラックを始めてまだ数回目でナチプロのリードはこれが最初だ。

それにここは案外事故が多いと言う記事がロクスノにあったなぁ、と思いつつ、今野さんにヘルメットを借り覚悟を決めて発進。

出だしをレイバックで数手登ったあとステミングに移る。

3-4m位で最初のキャメロット1番を取り出しセットしたが若干クラックには大きかったようでキャメロットは窮屈に身を縮めて何とかクラックに収まる。

数度引っ張ってチェックしたが大丈夫のようなのでこのままとする。

その後もステミングとクラックの中途半端なジャミングで登り続け中間テラスの下で2つ目のランニングをキャメロット0.75番で取ろうとしたら小さすぎてスカスカ。

「クッソー」と思いながら2番をセットする。

これも窮屈そうだが何とかクラックに収まった。

カムロックの番手を一つ間違えるだけで精神的にも疲れ、これがナチプロの厳しさか、と思う。

右のガバに手がかかり中間テラスに着いてヤレヤレである。

しばし休ませてもらう。

ここでフレンズ2.5(だったと思う)で満足の行くランニングが取れほっとする。

上を見ると終了点まではもう3-4mと言うところで結構かぶって見えるが、左右の壁にスタンスになりそうな凹凸もあるようだ。

3つ目のフレンズを信じて登り始めるが、途中でランニングを取っていると力尽きて落ちてしまいそうな気がして結局中間テラスから終了点まではランニングを取ることなく一気に登ってしまった。

(ひどいねー。)

終了点にあがるところも本来はクラックにジャムを決めて登るところなのだろうが、クラック初心者の自分にはそれが恐くて結局左のホールドを使ってしまった。

(情けない。)

下ではりなちゃんも含めて5人がトップロープを待っているので2ピッチ目はまた今度の機会としてロワーダウンで降ろしてもらう。

今野さん、片山さん、飯田さん、りなちゃん、千代川さんと順番に登る。

それぞれに個性的な登り方をするので感心してしまう。

7歳のりなちゃんは勿論登れなかったが途中まで補助で支えてあげると自力でレイバックの体勢を決めたのには感心、将来大物になるかもしれない。

(そのあとの「あいつが高校くらいになって小川山レイバックを登れてももうオンサイトとはいえないもんねー」と言う父親の飯田さんのつっこみにも笑えた。)

全員が登り終え廻り目平に戻りビールを飲むともう登る気が失せてしまった。

今回目的ルートを何とか2つともオンサイトで登れたのは嬉しいが登り方は満足できるほどではなかったので「嬉しさも中くらいなり小川山」と言うところである。

「まあでも怪我することなく登れた事だけでも感謝しなくては、よかったよかった」

と思いつつ陰りゆく屋根岩を眺めていた。

以上

 

 

小川山

2000年7月21日(金)
大滝、森広、柴田(記)

12時頃竜王駅前に寝ているところを大滝さんに拾ってもらう。

まだいい気持ち状態で頭が回っていない。

信州峠でテン張り翌朝廻り目平に到着。

今日は森広さんのヨセミテ向け強化合宿なので、クラックのやさしいところへ、と言う事でハコヤ岩に向かう。

初夏の日差し(5.8)・・・クラックのはずだが気が付いたらフェースのぼりをしている自分がいた。

大和なでしこ(5.8)・・・出だしがかぶっていて落ちそうになる。

かぶっているのにからきし弱い。

それ以外のところにも弱い。

このあと大滝さんが秋のささやき(5.9+)を登ったが難しそうなので森広さんと柴田はパスして河岸を変える事にする。

帰途途中ポケットマントル横の発熱の街角(5.10c)がなかなか面白そうに見えたので3人で一致団結・協業し上まで登る。

廻り目平に戻り暫しくつろいだ後、帰途につく。

大滝車には7時30分頃韮崎駅で捨てられる。

一人になった後は駅前のイトーヨーカドーで30円引きのおにぎりや50円引きのパンなどを翌日用に調達。

暇つぶしに3階に行ったら中華屋で「スタミナ定食1000円。ごはんのお代わり何度でもOK。」

が目に入り夕食はここに決定し、一人さびしく食事を取る。

お代わりも一回。

駅に戻り1時間くらい読書。

前日増子さんに貰った饅頭がザックの中でつぶれているのを発見し、気にせず食べる。

倉田さんに居場所を伝えて駅前の芝生にてシュラフカバーで仮眠。