谷川岳 一ノ倉沢 衝立岩中央稜

2016年5月8日
薄田、野澤、河合(記)

5/5、小窓尾根から早めに帰ってきて、野澤さんと河又でフリークライミング(体にキレなし成果なし・・・小窓引きずってる?)をしていた時のひとコマ。
(河)「今年残雪めっちゃ少ないっすね~。今週の土日どっちかで太刀岡山フリーかなと思ってたんですが、もしかして谷川の壁とかもう登れます?」
(野)「今年の残雪なら、もう行けるんじゃない?」
(河)「なら、行きませんか?リハビリで取付きやすいルートを。」
(野)「じゃあ、中央稜か南陵かな。」
という感じで、あっという間に急遽、谷川行が決まりました。薄田さんも加わり、3名で日曜に行くことになりました。

 

5/7、22:00都内某所集合し、一路谷川へ。久々に(車で)行った谷川は、水上ICからロープウェイまでの間にセブンイレブンだけでなく、ファミマができていました。いつの間に??

 

5/8は4:00起き。眠い目をこすりながら出発です。何しろ登るのは一ノ倉沢の誇る人気ルート、順番待ち上等の中央稜。順番待ちで残業や途中敗退なんて嫌なのでなるべく早く出発です。
4:50出発。予報は晴れ、高気圧ど真ん中だったので天気は心配していませんでしたが、予想外に風が強い!
途中、4人組のクライマーらしき集団とすれ違いました。残業っぽくなかったので、もしかして条件悪くて撤退?やっぱりフライング??有笠フリーへ転戦???など少し焦りましたが(なら聞けばよかったのに・・・)、一ノ倉沢出合に着いて一安心。これは登れる!
最初の滝は巻きましたが、すぐ雪渓に乗れ、スイスイとテールリッジに取付けました。
中央稜_20160508 写真2
中央稜取付についてびっくり。誰もいません。後方も誰も見えません。もしかして一ノ倉沢貸切??(ほかに後から南稜に1パーティー入っていました)
さて、早速登ります。最初は野澤さんにリードしていただき、途中から河合にスイッチです。各ピッチの感じ(河合の私見)は以下のとおり。
1P目(リード:野澤)
スラブから逆層っぽいフェースを左上。特に問題なし(フォローだし)。Ⅳもあるのかな。岩が脆い感じ。これはこの後ずっと感じました。
中央稜_20160508 写真3
2P目(リード:野澤)
左にトラバースして烏帽子奥壁側に回り込み、ルンゼを直上。Ⅱよりは絶対ムズいと思いました。野澤さんは右にトラバース用のピンが見える方の支点でピッチを切っていました。
中央稜_20160508 写真4
3P目(リード:野澤)
このままルンゼを直上することもできそうだけど、ルートは右にトラバースしてリッジに出てからフェースを直上(Ⅳ)。トラバースはよく見ればピンもスタンスもしっかりありました。
中央稜_20160508 写真5
4P目(リード:野澤)
核心のピッチ(Ⅴ-)らしいです。フェースから上部のチムニーへ。確かにチムニー入ったら少し悪かったけど、左のフェースからフォローしてきた薄田さん曰く「Ⅲ+だな」。
5P目(リード:野澤)
記憶にあまり残っていないけれど確かルンゼ状だったような。
6P目(リード:河合)
「ぼちぼちリードする?」ということで出番が回ってきました。きれいな凹角を直上。スタンスもホールドも豊富で快適でした。ピンにコケや土が詰まっていたので、我々が今シーズン(無雪期)最初のパーティー?
中央稜_20160508 写真6
7P目(リード:河合)
トポでは(Ⅱ)位のピッチが上まで100m続くらしいです。稜線上のルンゼ状を右に左に抜けていきます。傾斜も寝てきました。ピンも支点もたくさんですが、ロープが重いです。40m位伸ばしたところでピッチ切りました。上まではまだ2ピッチはあるなぁ。滝沢スラブの方からは落石や雪渓崩壊の轟音が時々していました。
中央稜_20160508 写真7
ここで薄田さん野澤さんと相談。「もうクライミングっぽくなくなったし、ここまででいんじゃない?」ってことで、上まで抜けずに下降することにしました。幸い、本日中央稜に取付いていたのは我々だけでしたし・・・
傾斜が緩いってことは、大体浮石が結構乗っていて、しかもこのルートはリッジでロープも引っかかりやすい。ということで、こまめにピッチを切りながらじわじわと下降しました。支点がたくさんあった理由がわかった気がします。結局9ピッチくらいで下降したかな。結構時間食いました。しかも強風でめちゃくちゃ寒い!日差しは強いのに・・・ガタガタ震えながらの下降でした。
中央稜_20160508 写真8
取付に戻って、テールリッジを下降。アプローチシューズをテールリッジ末端にデポしてきたので、ガバガバのクライミングシューズで下降したのですが、それでも痛いのなんのって。今日の核心は間違いなくこの下降でした。ところどころ少し悪いところがあり、濡れていたら怖そうです。懸垂支点が結構ありました。
中央稜_20160508 写真9
涙目になりながら末端に着きました。薄田さん野澤さんはとっても短いバイル(ゴルジュハンマーとか)で、グリセード。あっという間に視界から消えました。曰く「大人の遊びさっ」私はゴルジュハンマーでグリセードする勇気がなかったので軽アイゼンで走って追いかけました。下は芽吹きたての新緑が眩しく、春だ~でも気温は初夏だ~
 中央稜_20160508 写真10

 

15:30に登山指導センターに戻ってきました。往復10時間以上といい運動でした。実は今回が初の一ノ倉沢でしたが、少なくとも中央稜は東北で慣れ親しんだ(?)黒伏山南壁位(それ以上?)にボロく感じました。傾斜緩いせいもあるかと思いますが、しっかりハマっているように見える岩も叩くとパコパコと軽い感じ。信頼できる岩は見た目より少なかったです。
下降中や帰りの運転中に「調子悪いな~」と思っていたら、どうやら風邪を引いていたようで、月曜は情けなくダウン。ちょっとホロ苦の一ノ倉沢デビューでした。

 

コースタイム:
4:50登山指導センター→5:30一ノ倉沢出合→6:00/10テールリッジ末端→7:00/7:25中央稜取付→10:45/11:15 7ピッチ目終了点→13:15/25 中央稜取付→14:30/40 一ノ倉沢出合→ 15:20登山指導センター

谷川岳 一ノ倉沢 衝立岩中央稜

2014年10月18日(土)
赤井、平岩あ(記)

前日の夜、上里SAで待ち合わせ、赤井号で一路谷川へ。赤井号は広くて快適な上、運転も全てお願いしてしまった。至れり尽くせりじゃ。
ロープウェーの駐車場は7:00AMにならないと侵入出来ないので、下の駐車場に停める。
テントを張って、少しだけ酒宴の後就寝。翌朝携帯が鳴るまで爆睡だった。

4:00に起きて、5:00丁度に出発。
一ノ倉の出会まで歩いていると、横をおじさんが軽快にチャリで抜いていく。
最近こういうスタイルが流行っているのか・・・と少し感心したけど、自転車持ってくる方が面倒か、と思い直す。
それにしても、いよいよロープウェーの駐車場もダメ、ってなって、年々出会から離れて出発させられてる気がするぞ。

50分くらい歩いて出会に到着、ハーネスとか付ける。
今日は天気がハンパなく良くて、カメラを構えた人達も沢山だ。
赤井さんの、途中の非難小屋に住み付いている人が居るという怪しい話を聞きながら、一ノ倉沢に踏み入る。

1時間30分くらいで取り付きに到着・・・って、人が居ないんですけど。
先行Pは南稜のようでそのまま左方向に行ってしまい、後から来たPも凹状とか言って居なくなってしまった。
うーん、にわかに信じがたいのですが、こんなスーパーな天気の日に、まさかの貸切?

8:00登攀開始。
1P目、赤井
取り付きから左上、難なくビレイ点へ。
2P目、平岩
カンテを左に出て直上、カンテを右に反対側へトラバースする手前にピカピカのボルトが打ってあったので、そこで切る。
3P目、赤井
カンテをトラバースして正面に戻ってからから直上。途中でロープの流れが悪くなり、20m行かないくらいで一旦切る。
4P目、平岩
そのまま気持ち右上気味に登り、上のルンゼ状(トポだとチムニーとなっている)を越えたところでビレイ。35mくらい。
谷川中央稜5P目、赤井
ふつうに登って、トポのピッチよりも少し上のピナクル状まで延ばす。35mくらい。
6P目、平岩
気持ち右上気味に登る。右寄りに登ったらⅣくらいあって、あれー?と思って左を見たら、下から簡単そうな凹角が続いていてその上にピカピカボルトが打ってあった。むむ。
7P目、赤井
右上気味に適当に登って、丁度良さそうなところで切る。
8P目、平岩
同じく適当に右上気味に登って、またピカピカボルトがあったのでそこで切る。
9P目、赤井
もう上が目の前。「最後のピッチですね、宜しくお願いしますー」とか言って見送ったものの、最上部で少し時間がかかっている。あれ?トポだとⅡ~Ⅲってなってるのに??
が、フォローしてみて納得。自分が前のピッチでもっと右に出てないといけなかった模様。最上部は赤井さんがそこそこ悪いピナクル状を左に登って終了としていた。
出来の悪い後輩で済みません・・・。ということで、登攀終了は、11:30。結局、本当に貸切だった。

衝立岩のてっぺんからの景色を眺めながら、しばしお昼を食べる。
平和じゃ。

そして、下降は北稜から。
下降点には、ここから降りて下さい、と言わんばかりのラペルステーションが設けてある。
これだけガッツリ支点があると安心には違いないんだけど、何だか微妙に寂しさを覚える・・・。

そこから懸垂5ピッチで、ルンゼ状の底に(以降はロープを出すところなし)。
歩いて略奪点らしき岩を通り過ぎ、衝立前沢?の右岸側についた踏跡を辿る。
途中で左に向かって尾根を越す形で衝立前沢に入ると、後は沢下り。
赤井さんはコレを予想していたかのように、沢靴をアプローチシューズ代わりに履いていて、快適そうに下っていた。
ずるい。

14:50一ノ倉沢出会に到着。
観光の方がかなり居たので、この2人、相当場違い。
でもそんな事は気にせず、しばらくハーネス外したり、食べたりしながらまったりしていると、怖いもの知らずの人は居るもので、赤井さんにカメラのシャッターを頼んでいる人がいた。
ふと横を見ると、出会の駐車場には、ロープウェーとの往復バスが停まっていて(有料??)、乗せてってくれーとか思う。
さーて、と思い腰を上げ、トボトボと歩いて駐車場まで。

それにしても、天気と言い、貸切状態と言い、今日は一日、怖いくらいの素晴らしいコンディションだった。

コースタイム:
5:00駐車場 → 6:00一ノ倉沢出会 → 7:30中央稜取付 → 8:00登攀開始 → 11:30終了点→ 12:15北稜下降点、下降開始 → 14:50一ノ倉沢出会 → 16:00駐車場

谷川岳 一ノ倉沢 衝立岩中央稜

2000年4月2日
森広、三好(記)


一ノ倉尾根に行こうと秀峰メールを出したが、一緒に行く人が居ない。

がっくりきて、メールを持っていない森広さんに電話をかけると、日曜日だけならいいよとのことで、中央稜に向かうことになった。

立体駐車場で仮眠をとり、3:40に出発。

日帰りは、山に来たなぁという気分が今一つ盛りあがらない。

ただ単に、酒を飲んでうだうだ出来ないのが悲しいだけかもしれないけど。

一ノ倉出合に到着して、装備をつけ、テールリッジに向かったのは5:30頃。

すでに明るくなっている。

テールリッジの上部は雪が割れて落ちかけており、岩の上にうすく雪が乗っているだけの場所もあり、少しやらしいが、トレースを追ってゆく。

最後、1ピッチ分だけロープを出して、中央稜の取りつきに到着する。

烏帽子沢の雪はゴソッと落ち、上部に残っている雪もいつでも崩れてしまいそうだ。

他にテールリッジを登っていたのは1パーティだけで、南稜に向かおうとしていたが、雪が不安定なため、中央稜に取りつくと言って戻ってきた。

こちらものろのろと準備をして、先行パーティに続いて取りついたのが8:00くらい。

1p、三好。

技術的には難しいとトポに書いてあるが難しく感じない。

下部に雪がついているからか。

しかし、遅いのがなさけない。

途中でロープが重くて切ってしまう。

2p、森広。

次の支点に移動する。

3p、三好。

泥壁から右にトラバースした後でピッチを切る。

トラバースは少し怖い。

4p、森広。

フェース。

ロープの流れが悪くなり、すぐ切ってしまう。

5p、三好。

フェースの続き。

途中、先行パーティの人が懸垂で降りてきたが、話をする余裕はない。

一見、登りやすそうだったのに、足の置場がわからない。

フラットソールなら、フリクションで楽々なのに。

アイゼンは厳しいなぁ。

6p、森広。

途中疲れたので降りて、三好に交代。

チムニー状のところを登る。

ハーケンを打ち、アブミも使い、異常に時間が掛かった。

登りきったら、お助け紐っぽいのがちょうど見えない位置に隠れていた。

ここまでで14:00になっており、この後も実は結構悪いとの話なので、下降することにする。

テールリッジを何回か懸垂も交えながら降りる。18:30。

さすがに4月はまだ明るい。

今日は一日中、風もなく、天候的にも恵まれていた。

帰りは、行きに見られなかったデブリもたくさん見られて、シーズンの終わりを告げている。

立体駐車場に戻った時には、19:30。

もう暗くなっていた。

本当に、後発パーティが居なくてよかった。

もっと、アイゼン岩登りもロープワークもうまく、素早くなりたいと切実に思った。

そして、またチャレンジしよう!