ギリシャ カリムノス島

2016年8月13日~20日
平岩あ(記)、平岩く

今年の夏休みは北海道にフリークライミングに行く予定だったが、台風やら何やらで天気が悪そうなのでキャンセルになってしまった。
中々取れない一週間丸々の休みなので、どっかイイトコロないかなあ~と探していたら、アテネ行きの航空券がそこそこの値段で買えることを発見。
という事で行ってきました、2度目のギリシャ、カリムノス島(前回の報告はこちら)。

8月13日~14日
成田→関空→イスタンブール→アテネ→コス島→カリムノス島→マスーリ(泊)

プロペラ機でコス島へ
プロペラ機でコス島へ

家を出てから33時間、ようやく辿り着いた。
買ったのが安いチケットなので、色々と大変な訳で。
更にアンラッキーも重なった。
この日、コス島からカリムノス島に向かうフェリーが強風で欠航になっていて、違法操業している小型船でカリムノスに渡ることになったのだ。

強風で海は激荒れ
強風で海は激荒れ

当然ながらそんな船があることは知らず、最初に来た違法船に乗り損なってしまい、結局次の違法船を捉まえるまでコス島の港で3時間以上待ってしまった。
まあ、違法船でも何でもカリムノス島に渡れたのは良かった。
運賃は、足元をガン見されて、えらい高かったけど(20E/1人)。
当初の予定では、島に渡った当日の午後からクライミングをすることにしていたのだが、そんなこんなで結局宿に到着したのは17時過ぎ。
もう移動で疲れ果ててしまい、この日は大人しく買い物と夕食だけ済ませて、寝てしまった。

8月15日
クライミング1日目:

今回泊まった宿は、前回のようなスタジオではなく、Masouri Blueという一応ホテル。

ホテルの部屋。2ベッドルームでもう一部屋にはダブルベッドが置いてある。
ホテルの部屋。2ベッドルームでもう一部屋にはダブルベッドが置いてある。

予約が直前だったので、ホテルに較べて安いスタジオは全て埋まってしまっていて、予約できなかったのだ。
朝食付き、5泊で540Eとか。日本円で6万円ちょっとかな。
まあ、それでも他のリゾート地に較べると格段に安い。
朝食はビュッフェ形式なのだが、スタートが7:30amから。

朝食は外に並べられたテーブルで。滞在中1回しか食べてないけど。。。
朝食は外に並べられたテーブルで。滞在中1回しか食べてないけど。。。

朝早く出たいクライマーには微妙に使えない時間で、結局初日に一度食べたっきり、2日目以降は出発前に食堂に立ち寄って、パンとかゆで卵をもらって岩場に持っていく感じだった。
パンったって、フランスパンを切ってそのままくれるだけなので、モサモサしてて岩場で食べ辛いことこの上ない。
結局、毎日自分達でヨーグルトを買って、それを食べてから出かけていた。
我々には朝食付きはあまり意味がなかった。

さて岩場。
今回もスクーターを借りる予定はなく、Masouriから歩いて行ける範囲のエリアで済ませるつもり。
Kalymnos_5

最初は様子見で簡単なエリアということで、Afternoonからスタート。

Jonas Kitchen (6b)
Jonas Kitchen (6b)

アップで2本登った後は、Grande Grottaを跨いでPanoramaへ。
そこから今度はGrande Grottaへ・・・と初日はGrande Grottaとその近くの岩場をうろうろしながら登った感じだった。
Kalymnos_7

グレード的には、前回、2年前に来た時は6c(5.11a)までしか触れなかった。
今回は7a(5.11d)のルートが目標だ。

本日登ったルート
(Afternoon)
– Nonno Ringo (5c)  OS。一応トポでは星3つ。アップにどうぞ。
– Jonas Kitchen (6b)  OS。あまり記憶にないが、面白かったような気がする。
– Panakia (6b+)  1X。クールダウンで取り付くも登れず。カチ。核心ムズイ。クリップ出来なかった。今ツアーで唯一宿題にしてしまったルート。最新トポでは6cになってた。
(Panorama)
– Joggel&Toggel (6c+)  OS。出だしの数メートルが被ってて、見た目どおりここがポイント。面白い。お買い得という噂が。
(Grande Grotta)
– DNA (7a)  2RP。今ツアーの目標ルート。傾斜はキツイけど、ガバばっかなので登り易い。回収は登り返すか、途中にビナ捨てた方が良いです。

Joggel&Toggel (6c+) 出だしが被ってる
Joggel&Toggel (6c+) 出だしが被ってる
DNA (7a) ガバどっ被り
DNA (7a) ガバどっ被り

8月16日
クライミング2日目:

コス島でカリムノス行きの船を待っている間、ポーランド人のクライマーと知り合いになった。
昨日、岩場からの帰り道、マスーリの街中で偶然そいつに会って、「ビレイヤーがいないので明日一緒に登ってくれないか」と頼まれた。
という事で、今日はそのポーランド人、Kacと3人で岩場に向かった。
アップをGrande Grottaの右の方にあるルートで済ませてから、Kacの希望でSpartacusに移動。
このエリアは夕方までずーっと日陰らしいので、特に夏場に長時間登りたい人には良さそうだ。
日本と違って空気が乾燥しているので、日陰に入るとかなり涼しく、夏でも普通にクライミングが出来る。
流石に登ると暑いけど、降りてしばらくぼーっとしてれば、汗は普通にひいていく。
正直、暑くてもっと登れないかと思ってたけど、エリア(って言うか日陰)を選べばかなり快適だな、こりゃ。
Kacは7c+ (5.13a)まで登ったことがあるらしいのだが、仕事やら彼女やらでしばらくまともにクライミングをしていなかったらしく、「リハビリじゃ」と言いながら登っていた。
確かに上裸になった上半身はちょっとユルかったし、身体のキレはイマイチっぽかった。
Kalymnos_10

この日は1時くらいまで登って下山。

本日登ったルート
(Grande Grotta)
– Monahiki Elia (6a+)  2年越し2RP。上部のダブルコルネが楽しい。
(Spartacus)
– Harakiri (6b+)  OS。核心は一手。自分的には名前が余計な感じだが、ルートはかなり面白かった。
– Les Amazones (6c)  2年越し2RP。これも中間部のダブルコルネがポイント。所々ホールドがスローパーチックで悪い。良いルートです。
– Kerveros (7a)  OS。これはムーブ、スケールともに良かった。お買い得。人気があるのも納得。

Les Amazones (6c) ダブルコルネを登る
Les Amazones (6c) ダブルコルネを登る

一旦部屋に戻ったら水着に着替えてビーチへ直行。
泊まっているホテルの前の階段を降りると、すぐ目の前がビーチで、沢山の人が海水浴に来ている。
カリムノスは、クライミングだけでなく、ビーチリゾートとしても有名なので、この時期はクライマーと同じくらいかそれ以上に海水浴のお客さんがいるのだ。
自分はもう何年も海に行ってないので、本当に久々に生の水着のネーチャンを見て力いっぱい目の保養。
中にはトップレスの人も居たりして・・・GoPro頭に付けとけば良かった。

トップレスのギャルは写ってません
トップレスのギャルは写ってません

海の水はかなり冷たいので、長時間浸かっていられない。
あと、日差しがハンパなく強いので、パラソルの下でないと寝てられない。
パラソルとビーチで寝るベッドみたいなのは、ホテルに泊まっているお客は専用のものが置いてあってタダで使える。
(実際、今回ホテルに泊まった利点というと、ほぼコレだけだったような気がする。)
その他、近くの飲食店が出しているパラソルとかがあるので、飲み物(値段設定が高い)を頼むとそれを使わせてもらえたりするらしい。
クライマーらしき連中は、普通にタオルを砂の上に敷いて、直射日光の下でガン寝して全身真っ赤になってた。
Kalymnos_13

しばし海辺でのんびり昼寝をしてから、夕食を食べに出かける。
以降、帰るまで毎日このルーティーン。起きる、登る、海、夕飯、寝る。
いやー、素晴らしきリゾート・クライミング哉。社会復帰出来なくなりそうです。

8月17日
クライミング3日目:

カミさんが、そろそろ同じエリアは飽きたと言い出した。
登るルートはまだまだ沢山あるというのに。
ということで、この日の前日、スクーターを借りれないかと思い、レンタルバイク屋に行って話を聞いてきた。
今回ギリシャに行くことが決まったのが出発の2日前だったので、国際免許を取りに行ってる暇がなかった(某奥様は水着を買いに行く暇はあったらしいのだが)。
ので、日本の免許でスクーターを借りれないかという、結構ハードルの高い交渉をしてきたのだ。
結果、借りれる事にはなったのだが、事故ったりしても全て「自己責任になる」と言われ(当たり前)、何かあってもマズいので今回はやっぱり諦めることにした。
代わりに自転車を借りて、今日はこれまで歩いて行ってたエリアから少しだけ足を伸ばしてみることにした。
向かった先は、メジャーエリアのOdyssey。
レスト日を挟まず、ぶっ続けで4日と半日登る予定なので、中日の今日は一応ユルクラモード。
到着してみると、このエリアもまたデカい。

Odysseyエリア全景・・・いや、2/3景くらいか
Odysseyエリア全景・・・いや、2/3景くらいか

朝、壁の向かって左の方に歩いて行く人が結構見えたので、自分達は右側へ行ったのだが、右は右で結構人が居た。
人を避けるように一番右のエリアの左隣のエリアで登ったのだが、ここの壁は結構ショボかった。
我々が登っていたエリアの右隣と左隣は人気があるようで人がいた。後で見学に行ったら確かに壁もカッコいい。
よりによって、一番大した事のないところで登っていたようだ。
Odysseyも日陰を選べば2時過ぎまで登れる。という事で2時くらいまで登ってこの日は退散。
Kalymnos_15

本日登ったルート
(Odyssey)
– Poly Retsina No Good (6a)  OS。星3つだけど、かなりどうでもいいルートだな・・・って、ここに来て数日登ってかなり贅沢になってるかも?日本にあったら普通の快適な10aです。
– Penelope (6a+)  FL。中間部の一手もの。この核心は結構悪い。これもイマイチなルートだ。
– Imia (6c)  2RP。これはスケールがあって面白かった。中間部で細かくなる辺りが核心で、ルーファイ迷ってOS失敗。
– Why Not (6b+)  OS。ケイブの右端のラインで、短いけどこれは面白かった。

Penelope (6a+) 核心の箇所で悩む奥様
Penelope (6a+) 核心の箇所で悩む奥様
Imia (6c)
Imia (6c)

前回の報告でも書いたが、この島の水道の水は塩水なので、飲む用の真水は街中でタダで汲めるようになっている。
そんな訳で、先日Nalgenを持って、水場に行ったのだが、2ヶ所ある水場は両方とも枯れてしまっていて水が出ない。
あれ?そうなの??今回は買わないとダメか?と思いながら歩いていると、自販機みたいなものがあり、おじさんがそこから水を汲んでいた。
やっぱり買うのか、と思い幾らか聞いてみると、「タダだよ」と教えてくれた。
なるほど。この時期だけなのか、ずーっとこの状態なのか聞かなかったけど、町の水場で水が出ないときは、この自販機が目印のようだ。

泥棒にしか見えないが、水はタダです。
泥棒にしか見えないが、水はタダです。

8月18日
クライミング4日目:

奥様がやっぱり7aにチャレンジしたい!という事で、以前鳴海さんから聞いた、Grande Grottaのお買い得7aをやってみたいと言い出した。
そんな訳で4日目の今日もまたGrande Grottaへ。
Kalymnos_19

朝一は隣のPanoramaでいつも人が取り付いている人気ルートでアップ。
そこから件のお買い得課題へ向かう。
7a、トポにはロープスケールで40mと書いてあるのだが、うちの70mロープでそもそも登れるのかが心配になる。
が、結果的に70mロープで問題なかった。
奥様はこの課題に頑張って2便出したが登れず。。。さらにクールダウンでやったHappy Girlfriendとかいう5c+(5.9)も登れず、正に踏んだり蹴ったり。
すっかりUnhappy Wife状態。
でも、この島の良いところは、登れなくても海がある!ことだ。
海で泳いで、のんびり昼寝をして、島で一番お気に入りのレストランでご飯を食べたら、ようやくご機嫌が直ったようだ。

カミさんのお気に入り、Aegean Tavern。マスーリで多分一番おいしい。夏は予約した方が確実です。
カミさんのお気に入り、Aegean Tavern。マスーリで多分一番おいしい。夏は予約した方が確実です。
Tavernから見える夕日
Tavernから見える夕日

本日登ったルート
(Panorama)
– Carpe Diem (6b)  OS。グレードが手頃だからか、いつも人が取り付いている人気ルート。1本コルネの処理が面白い。
– Aeolia (6c+)  OS。このルートは面白かった。見た目どおり、左のコルネを取るまでが悪い。
(Grande Grotta)
– Trela (7a)  OS。何しろ長い。回収は途中でビナ一本捨てました。確かにお買い得かも。
– Happy Girlfriend (5c+)  OS。Grande Grottaの最奥・ど真ん中にある記念受験的ルート。でも核心はちゃんと悪いです。

Trela (7a) トポにはロープスケール40mって書いてあるけど、多分そこまでない。でも長い。
Trela (7a) トポにはロープスケール40mって書いてあるけど、多分そこまでない。でも長い。

8月19日~20日
クライミング5日目~カリムノス島→コス島→アテネ→イスタンブール→関空→成田

最終日、ホテルのチェックアウトが12時のところ、カミさんが交渉して1時まで延ばしてもらった。
11時くらいまでクライミング出来そうだ。
ということで、いつもよりも30分早く7時に出て、岩場に向かう。
Kalymnos_23

マスーリから一番近いPoetsにしようかと思ったのだが、カミさんが行ったことのないエリアが良いと言うので、その隣のIannisというところに行って来た。
結論から言うと、これが大当たり。
このエリア、こじんまりしてるけど、登ったルートは面白かったし、他にも幾つか面白そうなルートがあった。
次回また来たいな。

Iannisエリア全景。写真中央の洞窟がエリアの中心で、他のエリアと比べると小さい。
Iannisエリア全景。写真中央の洞窟がエリアの中心で、他のエリアと比べると小さい。

本日登ったルート
(Iannis)
– Kalotina (6a)  OS。このエリアで一番簡単なルート。見た目あまりパッとしないのだが、登ると更にパッとしない。。。
– Kalyne (6b)  OS。見た目イマイチだが、このルートはスケールもムーブもあってかなり楽しい。アップは是非これで。
– Adolf in the Bay (6c+)  2RP。あまり長さがないが、このルートは面白かった。ライン取りとホールドの甘さが絶妙。ラストもシビれます。

Kalyne (6b) アップはこれを是非
Kalyne (6b) アップはこれを是非

という事で、4.5日はあっと言う間に過ぎてしまい、これにて終了。
ここから現実の世界へと戻る25時間+の旅が待っている。
今回、夏のカリムノスってどうなのよ??的な疑問を持ちつつ、勢いで取り敢えず来てしまったが、いやー、想像を遥かに上回る楽しさだった。
朝一から登って、2時くらいに下山して、海に直行。もうキラールーティーン。
雨はほぼ100%降らないし、岩のコンディションも良いし、何よりクライミングオフシーズンなので、基本的に岩場が空いている。
次回も絶対夏に来たいなあ。
Kalymnos_26

おしまい。