2001年3月10日から2日間
三好、他2名(記)
今回一緒に行ったのは、日大山岳部OBのIさんと慶応山岳部OBのYさん。
1月に一緒にJ-WALLに行ったことはあるが、山に行くのは初めてだ。
でも、IさんやYさんがどんな山に行っていたかある程度知っていたので不安はあまりなくて、逆に私の方がついて行けるだろうかという不安の方が大きい。
元々、このハモンの話が出る前に月曜にマイナーリッジに行く計画は立っていたので、土日は楽な所に行こうかと考えていた。
しかし、刃物ヶ崎山には前から惹かれていたし、ハモンの水先案内人ことIさんとヤブ漕ぎ界のユージことYさんが行くというのだから、みよし号出せませんか?という誘いに心は揺らいだ(いわゆるアッシー)。
メールで送られてきたハモンの写真を見ていたら、そして、なんと言っても未踏の稜に取り付くというので、俄然行く気になってしまった。
長期山に入っていると考えれば、連日でもどってことないし、越後湯沢で眠って待っていればいいのだからこっちの方が楽かもしれないと思いつつ。。。
3月9日(金)
練馬高野台駅に集合、車を走らせる。
私はとにかく車に乗るとすぐ眠くなってしまうので、長時間の運転が出来ない。
しかし、二人とも運転が出来ないことが判明。
私にとって、全部運転するということは、かなりハイグレードな課題だ。
眠れなくなるドリンクを飲んで頑張って運転していると、関越の途中で重大な、かなり重大なことに気付く。
そう、酒を忘れてしまったのだ。
水上で降りても店がない。
思わず、酒を探すためだけに渋川で高速を降りてしまった。
我ながら偉い。
夜は、寝酒(浦◎浪漫では装備表に寝酒と入っているらしい)を飲みながらの語りが楽しくて、遅くまで聞き入ってしまった。
IさんもYさんも無人島に何を持ってゆくかと問われたら、地形図と答えるに違いない。
二人とも山と地形と愛を語らう人なのだ。
3月10日(土)
雪のち晴れのち雪
7:40電力館出発~9:20ダムの建物~10:10尾根取付~12:00, 1200m付近~
15:30, 1400m付近
雪の降る中、出発。
デンコちゃんが居なくて記念写真を取れなくてちょっと寂しい。
頑丈すぎるくらいのゲートをくぐってさらに進む。
除雪の跡があり楽だ。
しかし、平坦な道だと、チビな私は時々走らないことには他の人達から遅れてしまう。
8:50、除雪車が私達を追い抜いて行き、さらに歩くのは楽になり、さらに私は時々走らなくてはいけなくなる。
ダムの建物のすぐ横で水を汲み、さらに進んで、やっと尾根の取り付き。
嘘のように天気がよくなった。
晴天の中、時々地図を見ながらニヤニヤしてはいるが、Iさんも、Yさんもガンガンラッセルして、なかなか交代しない。
私が一番へたれで、すぐラッセルを交代していた。
睡眠不足のため、トップを代わると歩きながら眠ってしまうような感じだ。
眠いし、風も強く、雪も降ってきたので、今日は、急な登りの手前の1400mくらいの所でテントを張る。
夕飯はフランスパンやらトマトやらチーズやらが出てきて、さすが、沢屋さんは持ってくるものが豪華だと感動した。
酒は結構あったのに、すぐ眠くなってしまって飲み切れなかった。
さて、結構手前にテントを張ってしまったのもあり、明日はどうするかなぁと思うが、Yさんが「明日の朝早く出ればいいですよね!」
と素直に言うので、そうだねと頷く。
やる気がある人と山に行くと話は簡単で、なんだか心地よい。
3月11日(日)
雪のち曇り
5:20出発~9:00頃ロープ出す~10:50頂上~12:50ロープ外す~15:40テント撤収後出発~16:30, 1250m付近~18:00ダム~20:50電力館
朝から雪が降っている。
必要な物だけ持って出発。
ラッセル、ラッセルの登り。
第一尾根の下降点に到着するが、視界もなく雪も降り続いているので、東南稜に変更することにした。
しばらく経つと、傾斜も強くなり、雪が割れているので、ロープを出す。
計6ピッチほどだったか。
ブッシュでビレイ、または、スタンディングアックスでビレイ。
雪庇がぱっくりわれた跡をルートを選びながら進む。
とても楽しい。
途中、Iさんの姿がぱっと消え、声も聞こえなかったりして結構びびるが、のそっと這い出してきた。
山頂直下は急な斜面で、雪庇も見える。
順番から私になるが、Yさんがキャビアのようなつぶらな瞳で「行っていいですか」と言うので、姐さんたる私は「どうぞ」と譲る。
下からでも目立つ露岩の所からだと、50mロープでは足りず、途中で、少し上にあがって、アックスビレイ。
山頂に到着。
雪庇も大きくなく、Yさんも少し拍子抜けしたみたいだ。
東南稜が傾斜が強いのに比べて、のっぺりした山頂。
写真を取ってから下り始める。
下りは、ロープを出したままクライムダウン。
傾斜がゆるくなるところでロープを解く。
下る途中、これまで全く展望がなかったのに、ぱーっと雲が晴れ、東壁の全貌があらわになる。
写真で見たのと大違いで、雪がべっとりと付き、シュルントが所々に開いているのも見える。
「ハモンには神様がいるんだなぁ」
「そうですねぇ」。
ハモンの神様の粋なはからい。
「今年は駄目だよ、またおいで」
と言っているような気がした。
テントまで到着、撤収してから下りはじめると、昨日までのトレースはほぼ完璧に消えており、ラッセルし直しとなる。
もう、充実しすぎな山だ。
ハモンの神様に会いにまた行かないと。。。
ちなみに、Yさんは女性と山に行くのは初めてだったらしい。
それが、こんな変な奴でごめんなさい。
でも、慶応大山岳部の行動食がギンビス一袋というのはなかなか渋いです。
上毛高原駅で、IさんとYさんを捨て、待ち合わせたNくんとあのマイナーリッジに向かう。
さてさてどうなるか。。。