甲斐駒ケ岳 黄蓮谷右俣

2001年9月15日~16日
赤井、櫻井(記)


40歳を過ぎて肩が一年ほど痛く、治ったあともスムーズに回らず油が切れたままになっている。

この夏の滝谷の帰りではつまらない所で足を挫き、剱岳でも同じところをもう1回やってしまった。

ランアウトで頑張りすぎたせいか指の筋が痛いのが続いているし、ラットプルダウンという懸垂のようなトレーニングのせいかひじがいつも疼いている。

おまけにここ数日は時々腰に電気が走る
痛みもあって、とにかく応対に非常に忙しい。

仕事は忙しくないのに...
そんな体を試してみる、ハードな刺激を与えてみるつもりで今回は一泊二日の黄蓮谷にトライしてみた。

9月15日

7時過ぎ竹宇神社を出発。

A、Bフランケの柴田、浅野パーティーはもうとっくに出発してしまったようだ。

12時半 五合目の小屋。

心配していた腰は今のところ文句を言わないでくれている。

小屋の裏手の水場からトラバースの道に入る。

10分もすると道が判然としなくなる。

左に五丈の沢が見えているので方向は悪くないのだが踏みあとはほとんどない。

赤や黄色のテープがときどきついている。

沢に沿って30分以上よくわからない下降(懸垂は不要)を続けると急にきれいな道に出る。

その道をたどって10分程度で岩小屋につく。

13時半 岩小屋。

先客が1パーティー3人。

水量が多いのと天気がはっきりしないので今日はここで泊り明日天気が良かったら一気に抜けて帰るとのこと。

一応、谷の様子を見に行ったが、暗くで水量も多くガスで見通しも悪いので岩小屋泊まりとする。

ガスと小雨が続いてうっとおしい。

酒は豊富だったので早くから飲み始め、さっさと寝た。

9月16日

5時 岩小屋発。

昨日ほどガスは濃くない。

晴れ間も出るという天気予報を信じて黄蓮谷に入る。

すぐに左岸の高巻き。

しばらくすると坊主の滝が出てきてこれも左岸の高巻き。

沢に降りるのを嫌っていたら二俣に出てしまった。

二俣からは流水に沿って快適に登る。

しかしほとんどがシャワー気味で体がとても冷えてくる。

櫻井は雨具を着る。

長いナメが見えてきた。

これが奥千丈だ。

200mというが上部は左に折れていて見えない。

1ピッチ目、赤井さんが流水沿いに25mほど登って肩がらみ確保。

アンカーは流れのなかにある。

やはり増水しているということだろう。

2ピッチ目同じように流水沿いに登り、途中から右に水流から離れテラス状のところで潅木にアンカーを取る。

3ピッチ目テラスのバンドを登って草付きの流水溝を右上し潅木でアンカー。

ここからブッシュを登って左に下降気味に滝の中段に出る。

さらにスラブを左上するバンドを伝っていけるところまで行きスリングを頼りに滝上に立つ。

これが4ピッチ目。

結局連続した3ピッチとロープなしの2ピッチ分、最後に滝上に降り立つところで1ピッチ(15mほど)の4ピッチになった。

天気が良ければ爽快な景色だろうと、晴れないガスがうらめしい。

9時、奥千丈滝上。

インゼルを超えて、30mの滝を右から巻くと黒い3段60mの奥の滝だ。

左岸を高巻くが、トラックぐらいの大きさの岩が崩壊し10mくらいずれていた。

新しい断面が見えていたが、今年の台風のせいだろうか?
3段の滝の2段目を巻いたところでポッと水流に戻る。

見ると右岸のコーナーが登れそうなので取りつく。

取りついて見るときびしくて、ロープを出して真面目なA0を5mほどやってしまった。

これが今回一番の登攀だった。

普通は左岸を巻きつづけて上に出るのだろう。

12時半 3段の滝上。

あとはスケールの落ちた谷を少し登って源頭の雰囲気になる。

小さなスラブなどを適当に巻いていくとうんざりする前に頂上から50mほど下の縦走路に出た。

13時半から14時頂上。

少し青空も見える。

16時 五合目

19時半 竹宇神社

奥の3段の滝で登攀をやることになって予想外に時間を使った以外は、順調だった。

安定した登りの赤井さんと降らずにがまんした天気に感謝。

街では出ていた腰痛も出ず、降りて来れた。

いろんな意味で気を良くしている櫻井だった。

 

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