2018年10月6日~7日
中和、谷水(記)
大朝日岳の南に位置する祝瓶山、これに南西からつきあげるのが金目沢左俣。ゴルジュの沢で、中でも井戸の底と呼ばれるゴルジュが目玉となる。
週末には台風差し迫っているのに、直撃しなさそうだから・・初日は天気よさそうだから・・と、とりあえず現地に行ってみることになった。
1日目:道の駅おぐに(6:30)→トイレ跡前駐車場(8:15)→在所橋より入渓(8:25)→二俣(10:50)→井戸底ゴルジュ突破(14:00)→幕営地(16:00)
2日目:幕営地(6:15)→奥の二俣(14:00)→陵線(16:10)→祝瓶山山頂(16:20)→登山口(18:25)→林道分岐郵商店前?(19:30)→車乗車(20:45)
1日目(晴れ)
深夜2時頃道の駅に到着し朝6時過ぎに起床。道の駅周囲は霧に包まれていた。天気予報は晴れだがいかんせん台風が近づいているのでこのまま雨になるのではという不安がぬぐえない。とりあえず祝瓶山の登山口にマウンテンバイクをデポしに出発。途中から霧が晴れて青空がみえてきた。テンション上がりながら、デポした後、入渓点の在所橋へ向かった。トンネルをくぐってしばらく行くとトイレ跡に広くなっているスペースがあったのでそこに車を停めた。朝食をとり装備を整えいざ出発!10月だが中和さんの額には汗が浮かぶほどの気温でいい天気だ。
入渓してすぐは大岩が多数ある河原歩き。前半は平和な河原と聞いていたがこれがなかなか飽きさせない。全身使って岩を登って遡行していった。多くの徒渉を繰り返し岩魚小沢・モチア沢を越えるころは大変平和な河原になっていた。正直すこし飽きる位の平和が続いた。
すると唐突に釜をもつ小滝が現れた。釜を歩いて自分は左から岩を登り、中和さんは右から水線突破。平和な河原歩きが続いていただけにこの滝はかなり楽しかった。二俣が近づいていることを感じながらまた河原歩きが続いた。するとまた突然、魚止の滝・逆くの字の滝に辿り着いた。水量がすごく、どこから行けばいいのか分からない。中和さんに先行してもらう。ザックを背負ったままでは圧に負けるためザックをおろして押しながら滝の下をくぐり、水圧が弱まるところでザックを背負い残りの滝を登る。そのまねをして滝をくぐるが息が思うようにできない。滝から出た時の解放感が気持ちよかった。
日当たりのいい二俣に到着して一休憩。この沢の中で絶好のテン場適地。15時位なら泊まってしまいたいが、時間はまだ11時前、明日の天気も怪しいので今日中に井戸底ゴルジュを抜けたい!ということでさらに先へ進む。
その後はどんどんゴルジュになって小滝が連続するようになった。ただ高さのないゴルジュで太陽光が差し込むのでそんなに圧迫感はない。ショルダーしてもらいながら突っ張りしまくり突破していく。とある滝の水線突破を諦め左手から岩場をトラバースするとその先にも滝があった。このままトラバースしていけるのかと思い岩の上を進んでいくと、道(?)が落ち口まで続かず途切れた・・・。中和さんが空身で対岸の方から行ってみることに。道(?)を辿っているうちに水流の2m位上を歩いていたのでクライムダウンかと思いきや、中和さん飛込!!全身が釜に沈んで見えなくなる。2秒位浮かんでこず(@0@)))本当に驚いた。(後から聞いたら中和さんも驚いたそう。)対岸に取付いたがなかなかいいホールドがなく、ホールドも崩れたりして、抜けられない。しばしスカイフック使用し休憩はさみ、リトライ!左足のスメアが滝中に決まり、見事突破!荷上げして自分もお助け紐で上げてもらった。水流に飛び込むのは怖かったなぁ。釜が深かったため、「これが井戸底だったのでは?」「以外に明るかったですね」とか話しながら進むと、突如として両側がせり立ってきてゴルジュ内が暗くなる。なんだなんだと思っていると先から中和さんが「すごいですよ」と呼んでいる。見てみるとすごかった。井戸底に相違ないゴルジュの深さと暗さ。上の方から差し込む細い光が滝を青白くライトアップさせて幻想的な光景だ。水流もひんやり冷たい。感動しながら井戸底ゴルジュを抜けるころには体はすっかり冷え切っていた。
日向で小休憩。白湯持ってきておいてよかった、と思いつつ体温回復。自分はここで一気に疲れが出てきた。中和さんはまだまだ元気そう。ゴルジュはまだ続く。やがて右手に10m滝×2が見えた。左側から登れそうだったので取付いたが、濡れていない岩が滑々で1段が上がれない。悪あがきせず左のルンゼに入り、適当なところを右にトラバース+懸垂下降で左俣の水流に戻った。豪雪に耐えた木の枝が大きくしなって進行を阻んできた。朝日の山恐るべし・・・。さらに30分ほど歩くと再びゴルジュに突入しそうな雰囲気となったためその手前でテン場適地(増水したら即移動ではあるが、流木は沢山)を見つけて幕営となった。
その夜は星がきれいに見え、風もなくおだやかだった。焚火を見ていると時間を忘れる。アルパインだと夕飯食べると寝てしまうが、沢では21時位まで平気で起きていられる。しかし明日はなるべく早く山頂に行きたいので、5時起床ということで21時位に就寝した。
2日目(雨のち曇りのち霧雨)
目が覚めると風はなかったが雨が降っていた。予定より早かったが仕方がない。昨日よりは確実に寒いだろうなぁ、と思いつつ出発。すぐに7mのシャワー滝に着く。記録ではシャワークライミングしながら直登できたハズだが、雨のせいで水量が多くそんな気にならない。始めは左手ルンゼから巻こうとしたが、想像以上に悪く少し戻って小さな尾根をあがり少し大きく高まいた。小滝を超えながら歩いていると、この沢最大の20m滝が遠くに見えた。登れるものではなかったため少し戻って、右岸から高まくことに。上がるのに使用した枝沢でハーケンを使用した。1枚回収できませんでした。すみません・・・。高度かせいでトラバース開始する前に休憩。雨のせいで休憩中は体が冷える。休憩もそこそこにトラバース再開。遡行図によると奥の二俣の右俣(自分達のルートは左俣)に降りるまではトラバースするようだ。ゴルジュの上のトラバースなのでかなりの高度だが、霧と木で水流が見えないのと木や枝がしっかりしていたのでそれを感じることはなかった。
雨は止んだが霧が晴れることはなかった。トラバース中、中和さんが「あそこに谷と尾根見えと思います。」と。谷はあるような気がするが尾根はよくわからない。それが二俣を分ける尾根だと信じて下降していく。ドンピシャ奥の二俣の右俣に降りることができた。地形を読む力ももっと磨かないと、と思う。ここまでくれば沢ももう終盤である。最後の大きな8mと6mの滝に出会う。8mは階段状だが高度感あったためメインロープを出しハーケン打ちながら谷水リード。ハーケンが抜けなくなることを恐れ深く打てず、意味をなしていなかった。反省((´・ω・`)。上の6m滝は中和さんリード岩が剥がれてなかなか悪い。何とか抜けたが、ハーケン3枚置いてきてしまった・・・。きれいな滝だったのにすみません。
だが大きな滝はこれで終了。あとは水がなくなってゴーロになって最後に藪漕ぎが少しあるだけ・・・のハズだった。少なくとも「日本の渓谷96′」ではそんな感じの記録だった。しかし1200mを超えても水は枯れる様子はないし、結構悪い2m位の滝が続く。お助け紐出してもらったり、両岸に生えている草を抜けない!と信じて手掛かりにして登っていく。途中からはその滝に対して憤る(≧□≦)//
やっと藪に突入する。しかし腕は奥の二俣までのトラバースもしているので藪パンプ。それでも落ちることなく、息も絶え絶え進み、次第に傾斜がゆるくなり、木の枝が笹に代わりついに登山道に到着?v(≧▽≦)v喜びをかみしめつつの休憩。
あとは20分で山頂往復し下山。コースタイムよりは早く下れたが、途中で日没。ヘッデン下山となった。18時30分位に登山口についた・・・が、今回ここにあるのはマウンテンバイクである。これで車を回収しないと山行は終わったとは言えない。自分はてっきり1人が行き、1人が待つものだと思っていた。しかし中和さんから驚きの提案!マウンテンバイクのザック背負っての2人乗りである。中和さんがお腹にザックを背負ってサドルに座り、自分がザック背負って後輪に立つ。そして中和さんがこぐ!登りはさすがに歩くが林道は下りが多かったため速かった。そして怖かった。。。途中の商店で中和さんが空身で車を回収に行ってくれたため、無事車を回収することができた。最初から最後までありがとうございました。