剱岳八ッ峰

2019年4月28日~30日
赤井、田中、柴田、谷水(記)

去年は劒沢であえなく撤退した、劒岳八峰にリベンジした。今年はどこまで行けるのか?
GW前半4.27-5.1で計画していたが、27日まで天気が悪いということで出発を1日遅らせることに。また、晴天は2日しか続かないということで、黒部ダムからでなく、室堂から早く八峰に取り付けるようルート変更となった。

コースタイム
4.28(日) 扇沢(0630)=室堂(0825)-雷鳥沢キャンプ場(0915)-(1035)別山乗越(1115)-(1255)長次郎谷出合い(1315)-1・2のコル(1625)
4.29(月) 1・2のコル(0510)-4峰(1035)-5・6のコル下(1230)-(1340)長次郎谷出合い(1350)-劒沢キャンプ場(1630)
4.30(火) 劒沢キャンプ場(0640)-(0910)室堂(0945)=扇沢(1130)

行動記録
4.28(日) 晴れ
前日の夜に扇沢まで移動し、トイレ近くでビバーク。明け方前から人通りが多く0500に目が覚める。そのままテント撤収し、室堂へ行くため乗り物の行列に並ぶ。0630の始発というのに観光客も多い。前日までの雪のためか、扇沢も黒部ダムも去年より雪が多い。これはトレースがないとラッセルが大変そうだ・・・。
室堂は快晴で既に多くの登山者が先を行っていた。トレースばっちりの中、別山乗越までノーアイゼンで行けた。田中さんと柴田さんの足は速く、あっという間にみえなくなってしまった。別山乗越で集合し、アイゼンをつけてここから長次郎沢出合いまで800mの標高差を下る。乗越までトレースばっちりだったので、剣沢にも何パーティが入っているだろうと思っていたがスキーヤーしか入っておらず、しかも最近降った雪がやわらかく膝ラッセルで、単調な下りだが全然楽でない。アイゼンは靴につく団子を大きくするだけではく必要はなかった・・・。

1/2のコルへの登り返し

長次郎沢から今日の目的地1/2のコルまでは700mを登り返す。今日はアップダウンがいちいち激しくていいかげん嫌気がしてくる。この剣沢の下りもだったが、登り返しでも田中さんと柴田さんのパワーが発揮された。途中からデブリの上に積もった雪にさらに足をとられてしまう。天気がいいことだけが救いであるが、風もないでの暑いことこの上ない。300mほど登った2200m付近から右手の八峰にとりついた。傾斜を見ながら右手よりに高度を上げる。途中ダブルアックスになりながら、日没前にコルに着くことができた。
しっかりとした風よけつきのテントサイトができて、中に入るころには日没になっていた。
4.29(月) 晴れのちくもり
いよいよ八峰縦走がスタートする。自分達のパーティだけの貸し切り贅沢旅である。アルパイン装備を整えて出発する。
2峰
赤井さんがロープをつけて下り始める。尾根通しには進めず北面側のブッシュまで少し下り尾根に登り返した。中2人はロープにカラビナを通し、3人目はビレイされ通過。
3峰

八峰全貌

柴田さんトップで進み、下りでロープを出す。落ちはしなさそうだが、もし落ちたらと思うとアックスを握る手に力が入る。懸垂支点見つからず、這松から支点をとる。そこから40mほど懸垂し、3/4のコルへおりたつ。
4峰
4峰へ登り返すと細いリッヂに出る。足を滑らせれば一気に谷底に落ちるため慎重に進む。自分がリッヂに乗ろうとしたところで50㎝位真下に沈んだ。運よくそれだけで止まったが、怖さで全身に鳥肌がたって頭の先から抜けていった。後続の田中さん、柴田さんにも見られ2人ともドキッとしたそうだ。なんとかリッヂをこえ一安心。少し下ると枯れ木にスリングがかかっている。4/5のコルはすぐ右下に見えていたが、岩が露出しており微妙に悪いので30mほどロープをのばし懸垂。
5峰
5峰を登り切った時既に12時近く、今日中に稜線へは抜けられそうもない。明日の天気は崩れる予報で、裏付けるように遠くに怪しい雲が立ち込めている。残念だが今回の縦走はここで打ち切り、長次郎谷へ降りることが決定される。5峰の頭から向かいに懸垂支点が見えた。残地スリングに赤井さんのスリングを足して30mほど懸垂して次の懸垂支点へ移動。60m一杯伸ばして懸垂。少しくだってもう一回60m懸垂して長次郎谷に戻った。

5峰を見上げる

振り返り八峰を見上げると、稜線までもうちょっとのように見える。そのもうちょっとが遠いのが残念だ。次来る時は5/6のコルからでもいいかな、とか話しながらたっぷり休憩をとり、デブリの長次郎谷を下りきった。下ったら剣沢まキャンプ場まで登り返す。昨日とは逆の行程を行く。沢には小規模だが新たなデブリが発生していた。劒沢につくころには暗雲に追いつかれていた。
剣沢でキャンプするときはトイレが整備されているので、その周辺でと県警の方からご指導いただきました。最初そこからかなり下の小屋の近くで準備していたら、雪融け後のトイレ処理の関係で場所の移動をお願いされました。

4.30(火)
夜から雪が降っており、朝も天気は悪かったが視界は比較的良好の中室堂まで移動した。別山乗越近くは風が強く吹き飛ばされるかと思ったが、雷鳥沢まで行けば穏やかになり雷鳥沢から雷鳥荘までこの山行最後の登り返しを終えた。

リベンジ山行ということで、前回より先に進めたのは良かったです。天気もよく他パーティもいず、広い劒を独占できたかのような気持ちのいいものでした。ラッセルを男性陣に頼ってしまったので自分もできるように成長していきたいです。ありがとうございました。