1999年7月27日
森広(記)、中嶋
2時半に目を覚まして外を見ると、すでに遙か遠くまで光の列が続いていた。
我々は4時に歩き出す。
ずっと天気が続いていたので、氷河の上もしっかり道になっている。
モン・ブラン・デュ・タキュルの急な氷河にはいくつものクレバスがあいているが、トレースはそれを避けながら登っている。
3ヶ所ほどクレバスを渡って5時間がかりで急斜面を抜ける。
モン・モディのコルまでもう一段急斜面を登ると、あとは緩やかな、大きな斜面となる。
歩いても歩いてもただ真っ白な斜面が続いているだけだ。
雲が高くなって、いつのまにかマッターホルンも見えなくなっている。
このあたりでモンブランだけが飛び抜けて高いのだということも、頂上に着くまで感じるゆとりはなかった。
山頂は細長い雪稜になっていて、ここまできて初めて見るイタリア側は壁になって落ち込んでいる。
登りは頂上までコンテで歩いてきたが、下りはモディのコルまではザイルなしで歩くことにする。
モディのコルあたりから雪が柔らかくなり、アイゼンに団子ができ始める。
タキュルの急斜面のクレバスは飛び降りる。
急斜面を下りきると、気が抜けたせいかすっかりばてている。
テントまでのごく緩やかな登りが異常に辛かった。
テントに戻ると、まもなく雨が落ちてきた。
雨はまもなく雪に変わり、雷雪となって翌朝まで続き、積雪は30cm程度。