2019GWヨセミテ

2019年4月26日~5月7日
(河合、記)

昨年ヨセミテ初見参して即The Noseに突っ込みボコボコにされました。正直、クライミングを楽しむ余裕がなかったので、今回はゆっくり楽しもうと思って、また行ってきました。実際は風邪との格闘で、別の意味で過酷でした・・・
今年のGW早くから10連休が想定されたので、早めにパートナーを確保すべく奔走しましたが、人望のなさから尽くフラれ、「もういっそ単独で行ってCamp4で外人捕まえるかボルダーでよくね?」と悟りの境地に至り、パートナーいないのに早々に航空券を押さえました。結局、日程途中からI君が付き合ってくれる事になり、互いの目的ルートをビレイする事になりました。

今回の私の目標は「Separete Reality 5.11d」。
ヨセミテのクラインミングを初めて意識したのが、このルートを登るクライマーの写真でした。ルーフにぶら下がる人間の、あまりの意味のわからなさに度肝を抜かれました。以来、ヨセミテといったらセパリのイメージが染み付いており、どうしても登りたかったのです。
パートナーいない期間が長く、ボルダー割合が多くなることが予想されたので、国内での自分の限界グレードの初段に相当するV7も登りたいなということで、こちらをサブの目標にしました。

4/26
今回はフレズノ経由のお気楽行程。行きのアメリカンエアラインズでFree Soloが見れてラッキー!

4/27
現地初日、2日目は親孝行で両親をヨセミテ案内。マリポサグローブで巨セコイアスギを見たりしつつヨセミテイン、Curry Villageへ。両親が疲れて一服するというので、すかさずマウンテンショップに走りボルダーマットを購入、いそいそとボルダーへ出撃。タイムリミットは2時間。目指すはCircuit Breaker V2!が、早速スーパーいい加減なトポのせいで迷う。20分くらいフラフラしていたら、日本人っぽいパーティー発見。声かけてみたら同じくCircuit Breaker難民だったので、一緒に探す事に。なんか会った事あるような、と思っていたら、秋田勤務時代にお世話になったSさん他の皆さんだった!まさかの再会でびっくり。
Circuit Breakerは何とか見つけ、早速トライ。V2または5.11bというよくわからないグレードが付いている、とにかく綺麗なフィンガークラック。結構高いけど、下部核心みたいだし、えいやっ!とトライしてフラッシュ。ヨセミテ1本目がこれとか、最高に気持ちいいぞ!V2じゃ厳しいと思うけど。

Circuit Breaker V2だよ!全員集合!!

その後隣のBroken Circuit V5を撃つも、砂砂で掃除しながら。結局登れなかった。上部核心のフレアードフィンガークラック悪い。Sさんは悪条件でもきっちり完登。さすがっす。

滝をバックにBroken Circuit V5

その後The Angler V3にトライするも、これも悪くて5便かかってしまった。後ほど打ち込む事になるRoot Canal V7も少し触ったけど、よくわからん。

The Angler V3

4/28
朝Camp4の予約に並ぶも、96人空きと余裕だった。日中は両親を案内、下からKing Swingを鑑賞。夕方から、2時間半のリミットでCamp4ボルダーへ。まずはクラックボルダーとして有名なBachar Cracker V4へ。登っている外人(Austin)がいたのでセッション。出だしのクラックは前傾しているけど見かけ倒しで簡単、実質フィンガージャムで引きつけてスロパーを止める1手課題だった。が、この1手を止め損ねると後ろの岩に激突なので怖い。Austinの渾身のスポットで何とかトライできたけど、結局スロパー止められなかった。アメリカ在住のAustinもV5かV6あると言っている。ヨセミテのグレードはアメリカ人にとってもカラいらしい。

Bachar Cracker V4

その後Midnight Lightning V8を撃つも前回到達点まで行けず敗退、Cocaine Corner V5はヌメりとマット1枚で恐怖敗退、Higgins Problem V3ヌメり敗退、Ament Arete V4バラすも繋がらず敗退といいところなく終了。う?、想像通りとはいえ、カラいぞ。

今日も登れないMidnight Lightning V8と超親切Austinと多分彼女

4/29
朝、両親をバス停に送って、本格的にクライミング開始。まずはSeparate Reality 5.11d登ってからだ!という事で、セパリ取付でクライマー待ち伏せ作戦を決行するも、誰も来なかった。ソロで登る度胸も技術もなく、Cathedral Boulderへ移動。
なんか喉、痛いぞ、やな予感。適当にアップして、V7課題を触ってみる。The King V7は、思ったよりホールドがポジティブだったけど、マット1枚スポットなしでトライするメンタルは持ち合わせていない。そこで、ラインまっすぐ安心ランディングのHexcentric V7にターゲットを絞ってトライ。カチ立ち込み真っ向勝負系で、好物だ。2時間半位、あぁでもない、こうでもないとムーブを揉みまくって、20撃位で登ることができた。やった!

Hexcentric V7

ついでに隣のOctagon V6も触って見たけど、ホールド遠くて全然歯が立たなかった。こっちの方がムズイぞ。満足したのと体調悪くなってきたので帰る。ついでにThe Wizard V10も見学。こいつはヤベェ。トライされている形跡はなかったけど、それも納得。どんな意味でヤバイかは、ぜひ行ってみて、実際に見てみてください。いつかやって見たいと思える日が来るのだろうか。

The Wizard V10 写真では凄さが伝わらない・・・隣の岩によじ登って、はるか上のカチに飛びつくクレイジー課題だ!

4/30
どうせ今日も平日だしセパリは誰もいないだろうということで、最初からSentinel Boulder。喉痛い。No Holds Bard V7狙いだったけど、隣のSlapshotV8の方が面白そうだったので、そちらを3時間位打ち込むも、どうしても左手外傾カチを押さえられず、ペシペシとslapshot(平手打ち)を繰り出しまくって敗退。その後No Holds Bard V7をトライするも、指が終わっていたせいか、1手目すら止められなかった。それにしても1つ1つの岩がデカイ!そして1手1手が遠い・・・

Slapshot V8

一旦Camp4に戻ると秋田の皆さんがMidnightセッションしていたので少し混ざるも進展なし。その後Once Upon a Time V3をやりに行くというので、体調悪いのに同行。結局迷って辿り着けず、代わりにたどり着いたPresidential Boulderで、The Presidential Traverse V0やThe Presidential VBをセッション。

The Presidential Traverse V0 。高くて長いよ!

その後再びSentinel Boulderへ。いよいよ体調は悪くなり、猛烈な寒気に襲われてクライミングにならず。
夕方、エルキャプから降りてきたI君と合流するも、I君も足がボロボロでクライミングならないとのこと、翌日は完全レスト日にする事にした。

5/1
朝から発熱と喉の激痛ヤバイ。ピンチ!秋田のKさんに風邪薬の支援物資を頂く。感謝。とにかく寝て休むしかないという事で、テント引きこもり。これは今回の遠征終了のお知らせか?

5/2
熱が下がってきたような気がするので、まだクライミングできないI君に付き合ってもらってSeparare Reality 5.11dへ突っ込む。
フラッシュトライは出だし上部でプロテクションが取れなくて緊張して、無駄にヨレてしまった。ルーフは途中までガバハンドで順調も、核心のタイトハンド部分にカム入れてアウト。ハングドッグも体調悪くて辛い。足位置をあまり吟味できずさっさと降りてピンクトライを継続するも、続く2便も落ちてしまった。特に最後の1便は、終わりのガバを右手で押さえて落ちたので悔しかった。でも、ムーブは固めたぞっ!

セパリ舞台!

5/3
I君も復活してきて、今日はSeparate Reality 5.11dの下にあるTales of Power 5.12bをやるとのこと。私は今の体力だとユマールすらしんどいので、何とか1便で終わらせようと集中。順調にルーフをこなし、最後左手位置にまごつきながらも何とかキャンパ状態になり、逆立ち腹筋トウフックを完璧に決め、完登を確信した瞬間、色々込み上げてきた。でも、バイザーの上に立った瞬間は、何も声が出なかった。その後、ふと我に返って絶叫。感動しすぎると声って出ないんだな。そういやノーズも、最初は声出ず涙流れてたな。
セパリ、完登!

記念撮影。セパリのクラックは上に抜けている!

その後フィックスしてユマールでカム回収。フリーで登るよりしんどいぞ。今回はピンクポイント。レッドポイントはまた登りたくなった時にでも。
その後Tales of Power 5.12b取付に向かうも、傾斜きついにも関わらず懸垂バックアップ忘れ、面倒なエイドダウンとなってめちゃ手間取り、I君に呆れられてしまう。すんません。肝心のTales of Power 5.12bは、核心は私にはどうやらシンハンドじゃなくてタイトハンドのようだ。上部のワイド入り口さえこなせればできそうに見えたけど、今日の体調じゃ迷惑かけるだけだし、セパリの完登で気が抜けてしまったので、I君ビレイをした後、トライせずにユマールバック。セパリ登りに来たAさんYさんパーティのトライをついでに撮影。

セパリピンクトライのA さん。核心で渾身の1手!

その後I君のもう1つの目的、Cosmic Debris5.13bに移動。傾斜105°くらいのドフィンガーで、指はちゃんと入るけど全然決まらない系のようだ。1トライ、ビレイした所で時間切れ撤収。1ピッチ、Ⅳ級くらいの岩場を登ったところにあって、行くのはちょっとめんどい。
そういえば今日、1便しか登ってなくないか?まぁいいか。

5/4
残すは2日。私は遠征目的を既に達していたので、I君のビレイに徹する事にする。I君はCosmic Debris 5.13bに集中したいとのこと。午前中はCurry Villageのボルダーでアップ。なんかデカイ野良猫が歩いていると思ったら、アメリカオオヤマネコだった。態度がデカくて目つきが悪いのは、日本のヤマネコと変わらない。ボルダーはZorro V4にムキになって6撃、Root Canal V7に2人揃ってムキになってもはやアップじゃなくなって来たぞ。I君は完登するも私はダメだった。

Zorro V4 足位置が重要。爽快な課題。

昼過ぎに移動をかけようとするも、土曜午後でバリー内は凄い渋滞だ。しかもデブリ行くのに使うChapel駐車場に40分並んで、やっと駐車できると思ったら、「結婚式だからダメだ、後ろの参列者に譲って出てけ!」と、おっさんに怒鳴られる。Reservedとか表示一切してないし関係ない奴そこらでいっぱい停めてるじゃんか!順番守れよなっ!つーかこんな混んでる時期の一番混んでる時間帯に駐車場占拠するなよ、と2人とも怒り心頭。結局また渋滞地獄でCamp4に戻って歩いて向かうも、3時間近くロス。デブリ取付から「2人の結婚にクラックあれ、デブリ万歳!」とよっぽど叫んでやろうと思ったが、結局登るのに夢中で忘れた。これだから心の狭いクライマーはダメだなと後で思ったり思わなかったり。

登れる気がしないCosmic Debris 5.13b

肝心のCosmic Debris 5.13bは私もフォローで1便トライ。下部の核心は全く足がなくて、指残置怖いわ、そもそもめちゃくちゃ指痛いわで、文字通り手も足も出なかった。中間部のレストから上部は気合あれば何とかなりそうだったけど、今の自分の力との乖離を感じて、怪我も怖かったので、今回はトライしない事にした。出直してきます。

5/5
最終日だ。今更ながら体調が回復してきたぞ。季節は進んで、アメリカハナミズキが満開だ。朝一で、登れそうだったRoot Canal V7に集中トライするも詰めきれず、デブリに移動。日差しがなくてかなり寒い。5時間位ビレイしていたら、最後にI君がまたRoot canalに付き合ってくれるという。ヨセミテ出発まで後40分。出せて4便だなということで、気合入れたら、1便目でリップが取れた、と思ったら振られてマット外に吹っ飛んでしまった。無事着地できて無傷でよかった。次の便も激しく降られるも、気合の左手1本カチキャンパで耐え、完登。残り時間20分で雨も降り出してギリギリだった。

間に合ったRoot Canal V7 結構テクニカル

その後フレズノまで運転して、何とかレンタカー返却時間に間に合わせた。あぁ疲れた。が、翌朝は6時発の飛行機・・・

5/6~5/7
帰国。日に日に体調が良くなってきたのが恨めしい。

結局、直前の激務が祟ったせいか早々に風邪引いてしまい、満足に登ることはできなかったけど、Separate reality 5.11d登れ、V7も2本落とせて、目的達成できてよかったです。そして何より、ヨセミテの谷底でゆっくりとした時を過ごすことができたのが良かったなぁ。
カラいと言われるヨセミテのボルダーグレードは、外人リーチが大きい事による気がしていて、サイズ感さえ合えば日本とあまり変わらない気がしました。でも、Camp4ボルダーと、VB?V2の簡単なグレードはカラ過ぎると思うんですけど。V0前後でも普通に落ちれます・・・
GWは天候が安定しないと聞いたけど、今回は9日間で最終日にパラパラ降られただけでずっと晴れていました。9月より明らかに涼しいし、この天候が毎年のことなら、意外とビッグウォール適期かも?上は雪積もっていて下山大変かもしれないので要注意だけど。
次は、ヨセミテで何登ろうかなぁ。いつ休み取れるかなぁ。

今回の遠征ではセパリ付き合ってくれたI君や、秋田の皆さん、山梨のYさんAさんパーティ、テントサイト共有した北海道のTさんパーティの日本人の方々や、一緒にセッションしてくれた外人ボルダラーの皆さんにとてもお世話になりました。感謝です。