2007年3月3日~4日
向畑(記)、長門
3月3日
1時頃センターに到着。
3時に起きようかと思ったが、この1週間で3回目の山行の長門君が全く起きる気配を示さないので4時まで寝る。
5時出発。
雪は、今まで一ノ倉に通ってきた中で最も少ない。
ただ、テールリッジや衝立スラブの雪は結構安定していた。
中央稜基部にザックを1つデポし、雪壁をトラバースして目印のブッシュを目指す。
8時30分頃より、向畑リード、以下つるべで登り始める。
天候は晴れたり曇ったり。
ちなみに、向畑はこのルート、無雪期は3回登っているが、積雪期は3回敗退している。
1ピッチ目、アンザイレンテラスまでの雪壁。
通常、この雪壁は結構悪いが、今回は一部草付きが出ていて、アックスが効くため簡単だった。
尚、過去3回はいずれも雪の多い年に取り付いたため、アンザイレンテラスにも雪がヘッタリと付いていて、テラスに乗り移ることもできなかったが、今回はビレーポイントも完全に出ていた。
2ピッチ目(夏の1ピッチ目)、雪がほとんど付いていないため、ここより洞穴ハング上まで、フラットソールに履き替えて登る。
2人用テラス手前の凹角は、アイゼン、手袋では非常に悪いが、フラットソールの長門君は簡単にフリーで超えて行った。
3ピッチ目、第一ハング。
当初、セカンドもフォローで登るつもりだったが、ザックにアイゼン2組やピッケル2本など装着したところ、重くて登れなくなり途中からユマーリングに変更。
4ピッチ目、第2ハング。
第2ハングと第3ハングの間が特にもろく、ピンの腐食も激しいように感じた。
5ピッチ目、左上後、フェースを直上。
6ピッチ目、第3ハングを超え、ボサテラスへ。
時間は16時頃で結構いい時間だったが、あまり快適でなさそうだったので、洞穴ハング上のテラスまでがんばることにした。
この辺りより傾斜が落ち、壁に雪が付き始める。
7ピッチ目、下部は草付きダブルアックス(足元はフラットソール)。
中間部の立ち木まではランナーが取れるが、上半分フリーの部分はほとんどピンがない。
やっとピンを見つけたのでバイルでたたいてみたら、頭がポッキリ折れてしまった。
少し、強くたたき過ぎてしまったようだ。
正規ラインの凹角沿いは全くピンが見当たらないため、気休め程度のブッシュをたよりに左のカンテを登り、洞穴ハングの下部に合流。
8ピッチ目、洞穴ハングをヘッデン登攀。
久々のハングのユマーリングで向畑がはまってしまう。
終了は19時頃かな。
テラスの雪を削り、2人で腰掛けビバークとなったが、いつもと違いほとんど寒くなかった。
3月4日
5時頃起床。
今日も晴れたり曇ったり。
7時00分ころより登り始める。
9ピッチ目、ルンゼ状の草付き。
ここよりアイゼンを付ける。
10ピッチ目、スラブと草付き混じりの雪壁。
途中から左上し、中央稜の終了点に直接出る。
9時頃終了かな。
そのまま中央稜を下降、取り付きに11時頃着。
センターには14時頃着。
壁には中央稜に2パーティーいただけだったが、ルンゼはこの2日間、大盛況だったようだ。
尚、このルート、最近ではボロ壁ルートのように言われているが、個人的にはそれほどひどいとは思わない。
確かに、岩はもろく、支点の老朽化も進んでいるものの、もともと、弱点をつき、ピトン主体で開かれたルートなので、カムとピトンがあれば十分に対応できると思う。
また、出かける前からある程度は予想はできていて、それでも取り付いてしまったのだが、今回のような条件では、冬季登攀とは呼べないかも知れない。