会津駒ケ岳 檜枝岐川下ノ沢

2019年8月4日
谷水(単独・記)

7月は毎週末雨が降っていた。凍えない沢山行はなかった。しかし、最終末になり一気に夏日が続くようになり沢日和に。登山大系がいう「ゴルジュと滝の連続する豪快な沢」に誘われて遡行することにした。

コースタイム
村営駐車場(0550)-(0630)入渓(0640)-奥の二俣(1145)-(1350)駒ノ小屋(1420)-
村営駐車場(1530)

行動記録
8.4(日) 晴れのち雨
前日の夜に村営駐車場へ移動。途中のPAに財布を忘れて慌てて取りに戻る。2hロスしたが無事に財布を回収できたので本当によかった。車中泊でも快適な気温の中快眠でき、朝0500起床。しっかりした車道を竜ノ門の滝への登山道に入る。駒ヶ岳への登山者は沢山いるが、こちら側へ来る人はいない。静かな山行になりそうだ。
下ノ沢と登山道が交わるところで身支度を整え入渓。下はネオプレン、上は薄手の長袖。5分ほどゴーロを歩くと短い瀞が現れた。へつっていくとすぐに足がつかなくなり泳ぎに。おっと泳ぎがあるとは聞いてないけど・・・ビックリして一度引き返し、上もネオプレンを来て再挑戦。側壁はぬめってつかめなかったがなんとか奥まで到着。気持ちのいい泳ぎだった。

最初で最後の瀞

しばらくあるくと本日初めての滝(2段50m)。竜ノ門の滝だと思われる。1段目は簡単に登れたが、2段目は無理そうで右からまく。笹を頼りに滝上に降りられた。ゴーロ歩きは暑いのでネオプレン脱ぎ、なるべく水線をいく。竜ノ門の滝から1h歩き次の滝へ到着。次々に滝が現れ、右から左から直登できておもしろい。ただ、どれもぬめるので慎重に登った。そうこうしていると6m(?)CS滝に到着。中央から取付き右側に移動。落ち口のガバを頼りに体を持ち上げた。右側に残地ハーケンもあった。水が気持ちいい。

CS滝

滝を登とゴーロがあり、そこから稜線を望むことができた。そして青空!久しぶりのコントラストにテンションも上がる。その後も登れる滝が続く。岩がぬめるがそれがアクセントとなって緊張感ある滝登りを楽しめた。中でも二俣を左手にいった先の7m滝は、滝裏を通って右から左側に移り直登できる滝で、暑い日にはピッタリな涼しい滝だった。

滝裏を通れる滝

その後も奥の二俣まで5m前後の滝が続きそのほとんどに100㎝位の深さの釜がある。へつろうにも足元の岩がぬめり全て釜にはまった。暑い日でなければ凍えていただろう。しかし今日は最高気温30℃こえる夏日。水からあがればすぐに暑くなるため、水の中は心地いい。奥の二俣を左手に進むと15分ほどで水は枯れ、沢型だけに。両側から藪が伸びてくるがまだ快適な方。いつのまにか背丈をこえる藪漕ぎとなった。途中、木に登って周囲を見ると左の方に草原を歩く登山者の姿が見えたので頑張れた。14時近くに駒ノ小屋に到着。沢装備をほどき大休憩。するとポツポツと雨が・・・。もう濡れてるし関係ない。周りの登山者が雨具を装備するのを横目にのんびりしていると雨が強くなってきた。じっとしていると薄寒いので下山。上ノ沢を下りたかったが、予定より時間が押しているし雨強いし満足したので一般道を駐車場まで駆け下りた。

今シーズン初めて沢山行で凍えなかった。最終的に雨には降られたが気持ちのいい山行でした。気温も上がってきたので今度は只見の方からも詰めてみたいと思います。

天竜川水系 遠山川支流・諸河内左俣

2019/7/6(土)~2019/7/7(日)
中和(記)、谷水

コースタイム:
7/6(土) 芝沢ゲート(08:06) – 諸河内出合(08:46) – 二俣(10:46) – 第1ゴルジュ入口(11:11) – 第1ゴルジュ出口(18:23)
7/7(日) 第1ゴルジュ出口(05:41) – 三俣(06:52) – 第3ゴルジュ入口(09:01) – 主稜線(12:04) – 加加森山(13:01) – 矢筈山(16:15) – 諸河内出合(17:53) – 芝沢ゲート(18:45)

行動記録:
7/5(金) 雨
前日夜行。芝沢ゲートに着いたのは2時半。前夜祭せずに落ちる。

7/6(土) 曇りのち小雨
早起きに失敗して出発は8時過ぎ。芝沢ゲートから先の林道は崩落しているとのことだが、まぁ自転車なら何とかなるさ・・・と思っていたが、林道は路盤ごと消滅しており何ともならなかった。ゲートから1km足らずで自転車を残置して諸河内まで歩く。

林道下の遠山川はゴーゴーという音を立てながらミルクコーヒーのような液体を下流へと送り出しているが、幸いにも諸河内には濁りはない。二俣までは多少の小滝がある程度で遡行に障りは無いけれど、左俣に入るとすぐに第1ゴルジュとなる。

【第1ゴルジュ】
このゴルジュは側壁が立っており高巻きも悪い。挨拶代わりの3連瀑からゴルジュが始まり、これを巻いた先にも10m程度の滝が連続する。ここは2ピッチで小さく巻くように登った。

入口の3段滝 (高巻き)
12m滝 (フレーム外の右凹角を2ピッチで悪い高巻き)

適当にトラバースして懸垂1回でゴルジュ内に戻るが、すぐ上が7mの斜瀑で、その上は高い側壁が守る直瀑。これは歯が立たない。沢に戻って早々に再度高巻きモードに入るが、この巻きも悪い。藪リッジを2ピッチ、30分以上のトラバース、懸垂3回で沢に戻った時には18時を過ぎていた。ゴルジュを抜けるのに7時間以上かかった計算になる。降りた場所は、第1ゴルジュの出口のミニ河原で、ここに泊まった。

7m斜瀑 (ここから第1ゴルジュ出口まで大高巻き)

7/7(日) 晴れのち小雨

【第2ゴルジュ~】
小滝を適当に越え、右岸支流からの4段大滝を見送ると第2ゴルジュが始まる。滝が10個くらいあるが、ロープ無しで登れる癒し系ゴルジュ。

ゴルジュを抜けて三俣(1570あたり)を中央に入ると、すぐに沢が右に折れ曲がり3段30m滝。1段目は何てこと無く、2段目も高さはあるが簡単に見える。谷水さんがロープを無しで取り付くが、ワンポイント悪いようで降りてきた。高さがあるので確保してもらい2ピッチで抜ける。

3段30m大滝2段目(右壁を登る)

【第3ゴルジュ~】
大滝の上は、1つの大きな滝のように見える連瀑帯だが、構成する滝1つ1つは簡単。連瀑帯の上は、またもやゴルジュ(第3ゴルジュ)となり、入口の滝は登れずに右岸を高巻く。ゴルジュ内にダメ押しとばかりに20m超の滝まで掛けており、うかつに降りられない。しばらく尾根を高巻き続け、側壁が緩くなった隙を見て沢へと滑り込む。

沢に戻ると真っ赤なチャートの3段20m滝となり、これを越えると沢幅を狭めながら小滝が連続する。延々と続く滝にいい加減ウンザリしてくる。ゴルジュを抜けて最後に2段16m滝を登ればようやく滝が消滅。水流も急減して2150mあたりで水が枯れる。沢型が無くなったところで右側の尾根に逃げると、藪こぎもなく主稜線のコル。

第3ゴルジュ

下山路は、加加森山と矢筈山を経由して諸河内出合に戻ったが、加加森沢右岸の尾根は、途中まで踏み跡がわかりにくい。1900m付近からは明瞭な道が出てきて親切仕様になったなと思ったら、矢筈山手前のコルからはモノレールまで設置されている。ゆとり登山道。レールに沿って何も考えずに進めば諸河内出合(仏島)に降りられる。

遡行図:
チャートで構成された赤い渓谷は、固い岩質でヌメリも無く爽快。滝は大小40を超え、第1ゴルジュから源流まで延々と滝が続く。内包する3つのゴルジュの内、第2ゴルジュ以外は水線通過は難しい。

遡行図

ロープはダブル60mを1本だったが、2本あってもいい。使ったプロテクションは、ハーケン(薄刃/アングル)、マスターカム(#1、#2)、トライカム(#0.5~#2)。持ってきたプロテクションは、ほぼ全種類使った。残置や人工物(堰堤/ゴミ)は皆無で、想像以上に面白い沢だった。

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しょがっち。谷水さんも「シュワッチ」と呟いていたが、この名前は何なのか。南アでは「河内」は沢・川といった程度の意味なので、諸河内は諸沢と理解すれば良さそうだ。じゃあ「諸」が何かという話だが、アイヌ語で滝を意味する「ショ」に由来している(・・・と思う)。ショの沢 (所の沢/諸の沢/初の沢)という名前は東日本各地に見られ、南アだけでも4つ「ショ」の沢が存在する。 それらは、滝を多く掛けていることも、何となく同じ由来があるように思うのだが。

2019GWヨセミテ

2019年4月26日~5月7日
(河合、記)

昨年ヨセミテ初見参して即The Noseに突っ込みボコボコにされました。正直、クライミングを楽しむ余裕がなかったので、今回はゆっくり楽しもうと思って、また行ってきました。実際は風邪との格闘で、別の意味で過酷でした・・・
今年のGW早くから10連休が想定されたので、早めにパートナーを確保すべく奔走しましたが、人望のなさから尽くフラれ、「もういっそ単独で行ってCamp4で外人捕まえるかボルダーでよくね?」と悟りの境地に至り、パートナーいないのに早々に航空券を押さえました。結局、日程途中からI君が付き合ってくれる事になり、互いの目的ルートをビレイする事になりました。

今回の私の目標は「Separete Reality 5.11d」。
ヨセミテのクラインミングを初めて意識したのが、このルートを登るクライマーの写真でした。ルーフにぶら下がる人間の、あまりの意味のわからなさに度肝を抜かれました。以来、ヨセミテといったらセパリのイメージが染み付いており、どうしても登りたかったのです。
パートナーいない期間が長く、ボルダー割合が多くなることが予想されたので、国内での自分の限界グレードの初段に相当するV7も登りたいなということで、こちらをサブの目標にしました。

4/26
今回はフレズノ経由のお気楽行程。行きのアメリカンエアラインズでFree Soloが見れてラッキー!

4/27
現地初日、2日目は親孝行で両親をヨセミテ案内。マリポサグローブで巨セコイアスギを見たりしつつヨセミテイン、Curry Villageへ。両親が疲れて一服するというので、すかさずマウンテンショップに走りボルダーマットを購入、いそいそとボルダーへ出撃。タイムリミットは2時間。目指すはCircuit Breaker V2!が、早速スーパーいい加減なトポのせいで迷う。20分くらいフラフラしていたら、日本人っぽいパーティー発見。声かけてみたら同じくCircuit Breaker難民だったので、一緒に探す事に。なんか会った事あるような、と思っていたら、秋田勤務時代にお世話になったSさん他の皆さんだった!まさかの再会でびっくり。
Circuit Breakerは何とか見つけ、早速トライ。V2または5.11bというよくわからないグレードが付いている、とにかく綺麗なフィンガークラック。結構高いけど、下部核心みたいだし、えいやっ!とトライしてフラッシュ。ヨセミテ1本目がこれとか、最高に気持ちいいぞ!V2じゃ厳しいと思うけど。

Circuit Breaker V2だよ!全員集合!!

その後隣のBroken Circuit V5を撃つも、砂砂で掃除しながら。結局登れなかった。上部核心のフレアードフィンガークラック悪い。Sさんは悪条件でもきっちり完登。さすがっす。

滝をバックにBroken Circuit V5

その後The Angler V3にトライするも、これも悪くて5便かかってしまった。後ほど打ち込む事になるRoot Canal V7も少し触ったけど、よくわからん。

The Angler V3

4/28
朝Camp4の予約に並ぶも、96人空きと余裕だった。日中は両親を案内、下からKing Swingを鑑賞。夕方から、2時間半のリミットでCamp4ボルダーへ。まずはクラックボルダーとして有名なBachar Cracker V4へ。登っている外人(Austin)がいたのでセッション。出だしのクラックは前傾しているけど見かけ倒しで簡単、実質フィンガージャムで引きつけてスロパーを止める1手課題だった。が、この1手を止め損ねると後ろの岩に激突なので怖い。Austinの渾身のスポットで何とかトライできたけど、結局スロパー止められなかった。アメリカ在住のAustinもV5かV6あると言っている。ヨセミテのグレードはアメリカ人にとってもカラいらしい。

Bachar Cracker V4

その後Midnight Lightning V8を撃つも前回到達点まで行けず敗退、Cocaine Corner V5はヌメりとマット1枚で恐怖敗退、Higgins Problem V3ヌメり敗退、Ament Arete V4バラすも繋がらず敗退といいところなく終了。う?、想像通りとはいえ、カラいぞ。

今日も登れないMidnight Lightning V8と超親切Austinと多分彼女

4/29
朝、両親をバス停に送って、本格的にクライミング開始。まずはSeparate Reality 5.11d登ってからだ!という事で、セパリ取付でクライマー待ち伏せ作戦を決行するも、誰も来なかった。ソロで登る度胸も技術もなく、Cathedral Boulderへ移動。
なんか喉、痛いぞ、やな予感。適当にアップして、V7課題を触ってみる。The King V7は、思ったよりホールドがポジティブだったけど、マット1枚スポットなしでトライするメンタルは持ち合わせていない。そこで、ラインまっすぐ安心ランディングのHexcentric V7にターゲットを絞ってトライ。カチ立ち込み真っ向勝負系で、好物だ。2時間半位、あぁでもない、こうでもないとムーブを揉みまくって、20撃位で登ることができた。やった!

Hexcentric V7

ついでに隣のOctagon V6も触って見たけど、ホールド遠くて全然歯が立たなかった。こっちの方がムズイぞ。満足したのと体調悪くなってきたので帰る。ついでにThe Wizard V10も見学。こいつはヤベェ。トライされている形跡はなかったけど、それも納得。どんな意味でヤバイかは、ぜひ行ってみて、実際に見てみてください。いつかやって見たいと思える日が来るのだろうか。

The Wizard V10 写真では凄さが伝わらない・・・隣の岩によじ登って、はるか上のカチに飛びつくクレイジー課題だ!

4/30
どうせ今日も平日だしセパリは誰もいないだろうということで、最初からSentinel Boulder。喉痛い。No Holds Bard V7狙いだったけど、隣のSlapshotV8の方が面白そうだったので、そちらを3時間位打ち込むも、どうしても左手外傾カチを押さえられず、ペシペシとslapshot(平手打ち)を繰り出しまくって敗退。その後No Holds Bard V7をトライするも、指が終わっていたせいか、1手目すら止められなかった。それにしても1つ1つの岩がデカイ!そして1手1手が遠い・・・

Slapshot V8

一旦Camp4に戻ると秋田の皆さんがMidnightセッションしていたので少し混ざるも進展なし。その後Once Upon a Time V3をやりに行くというので、体調悪いのに同行。結局迷って辿り着けず、代わりにたどり着いたPresidential Boulderで、The Presidential Traverse V0やThe Presidential VBをセッション。

The Presidential Traverse V0 。高くて長いよ!

その後再びSentinel Boulderへ。いよいよ体調は悪くなり、猛烈な寒気に襲われてクライミングにならず。
夕方、エルキャプから降りてきたI君と合流するも、I君も足がボロボロでクライミングならないとのこと、翌日は完全レスト日にする事にした。

5/1
朝から発熱と喉の激痛ヤバイ。ピンチ!秋田のKさんに風邪薬の支援物資を頂く。感謝。とにかく寝て休むしかないという事で、テント引きこもり。これは今回の遠征終了のお知らせか?

5/2
熱が下がってきたような気がするので、まだクライミングできないI君に付き合ってもらってSeparare Reality 5.11dへ突っ込む。
フラッシュトライは出だし上部でプロテクションが取れなくて緊張して、無駄にヨレてしまった。ルーフは途中までガバハンドで順調も、核心のタイトハンド部分にカム入れてアウト。ハングドッグも体調悪くて辛い。足位置をあまり吟味できずさっさと降りてピンクトライを継続するも、続く2便も落ちてしまった。特に最後の1便は、終わりのガバを右手で押さえて落ちたので悔しかった。でも、ムーブは固めたぞっ!

セパリ舞台!

5/3
I君も復活してきて、今日はSeparate Reality 5.11dの下にあるTales of Power 5.12bをやるとのこと。私は今の体力だとユマールすらしんどいので、何とか1便で終わらせようと集中。順調にルーフをこなし、最後左手位置にまごつきながらも何とかキャンパ状態になり、逆立ち腹筋トウフックを完璧に決め、完登を確信した瞬間、色々込み上げてきた。でも、バイザーの上に立った瞬間は、何も声が出なかった。その後、ふと我に返って絶叫。感動しすぎると声って出ないんだな。そういやノーズも、最初は声出ず涙流れてたな。
セパリ、完登!

記念撮影。セパリのクラックは上に抜けている!

その後フィックスしてユマールでカム回収。フリーで登るよりしんどいぞ。今回はピンクポイント。レッドポイントはまた登りたくなった時にでも。
その後Tales of Power 5.12b取付に向かうも、傾斜きついにも関わらず懸垂バックアップ忘れ、面倒なエイドダウンとなってめちゃ手間取り、I君に呆れられてしまう。すんません。肝心のTales of Power 5.12bは、核心は私にはどうやらシンハンドじゃなくてタイトハンドのようだ。上部のワイド入り口さえこなせればできそうに見えたけど、今日の体調じゃ迷惑かけるだけだし、セパリの完登で気が抜けてしまったので、I君ビレイをした後、トライせずにユマールバック。セパリ登りに来たAさんYさんパーティのトライをついでに撮影。

セパリピンクトライのA さん。核心で渾身の1手!

その後I君のもう1つの目的、Cosmic Debris5.13bに移動。傾斜105°くらいのドフィンガーで、指はちゃんと入るけど全然決まらない系のようだ。1トライ、ビレイした所で時間切れ撤収。1ピッチ、Ⅳ級くらいの岩場を登ったところにあって、行くのはちょっとめんどい。
そういえば今日、1便しか登ってなくないか?まぁいいか。

5/4
残すは2日。私は遠征目的を既に達していたので、I君のビレイに徹する事にする。I君はCosmic Debris 5.13bに集中したいとのこと。午前中はCurry Villageのボルダーでアップ。なんかデカイ野良猫が歩いていると思ったら、アメリカオオヤマネコだった。態度がデカくて目つきが悪いのは、日本のヤマネコと変わらない。ボルダーはZorro V4にムキになって6撃、Root Canal V7に2人揃ってムキになってもはやアップじゃなくなって来たぞ。I君は完登するも私はダメだった。

Zorro V4 足位置が重要。爽快な課題。

昼過ぎに移動をかけようとするも、土曜午後でバリー内は凄い渋滞だ。しかもデブリ行くのに使うChapel駐車場に40分並んで、やっと駐車できると思ったら、「結婚式だからダメだ、後ろの参列者に譲って出てけ!」と、おっさんに怒鳴られる。Reservedとか表示一切してないし関係ない奴そこらでいっぱい停めてるじゃんか!順番守れよなっ!つーかこんな混んでる時期の一番混んでる時間帯に駐車場占拠するなよ、と2人とも怒り心頭。結局また渋滞地獄でCamp4に戻って歩いて向かうも、3時間近くロス。デブリ取付から「2人の結婚にクラックあれ、デブリ万歳!」とよっぽど叫んでやろうと思ったが、結局登るのに夢中で忘れた。これだから心の狭いクライマーはダメだなと後で思ったり思わなかったり。

登れる気がしないCosmic Debris 5.13b

肝心のCosmic Debris 5.13bは私もフォローで1便トライ。下部の核心は全く足がなくて、指残置怖いわ、そもそもめちゃくちゃ指痛いわで、文字通り手も足も出なかった。中間部のレストから上部は気合あれば何とかなりそうだったけど、今の自分の力との乖離を感じて、怪我も怖かったので、今回はトライしない事にした。出直してきます。

5/5
最終日だ。今更ながら体調が回復してきたぞ。季節は進んで、アメリカハナミズキが満開だ。朝一で、登れそうだったRoot Canal V7に集中トライするも詰めきれず、デブリに移動。日差しがなくてかなり寒い。5時間位ビレイしていたら、最後にI君がまたRoot canalに付き合ってくれるという。ヨセミテ出発まで後40分。出せて4便だなということで、気合入れたら、1便目でリップが取れた、と思ったら振られてマット外に吹っ飛んでしまった。無事着地できて無傷でよかった。次の便も激しく降られるも、気合の左手1本カチキャンパで耐え、完登。残り時間20分で雨も降り出してギリギリだった。

間に合ったRoot Canal V7 結構テクニカル

その後フレズノまで運転して、何とかレンタカー返却時間に間に合わせた。あぁ疲れた。が、翌朝は6時発の飛行機・・・

5/6~5/7
帰国。日に日に体調が良くなってきたのが恨めしい。

結局、直前の激務が祟ったせいか早々に風邪引いてしまい、満足に登ることはできなかったけど、Separate reality 5.11d登れ、V7も2本落とせて、目的達成できてよかったです。そして何より、ヨセミテの谷底でゆっくりとした時を過ごすことができたのが良かったなぁ。
カラいと言われるヨセミテのボルダーグレードは、外人リーチが大きい事による気がしていて、サイズ感さえ合えば日本とあまり変わらない気がしました。でも、Camp4ボルダーと、VB?V2の簡単なグレードはカラ過ぎると思うんですけど。V0前後でも普通に落ちれます・・・
GWは天候が安定しないと聞いたけど、今回は9日間で最終日にパラパラ降られただけでずっと晴れていました。9月より明らかに涼しいし、この天候が毎年のことなら、意外とビッグウォール適期かも?上は雪積もっていて下山大変かもしれないので要注意だけど。
次は、ヨセミテで何登ろうかなぁ。いつ休み取れるかなぁ。

今回の遠征ではセパリ付き合ってくれたI君や、秋田の皆さん、山梨のYさんAさんパーティ、テントサイト共有した北海道のTさんパーティの日本人の方々や、一緒にセッションしてくれた外人ボルダラーの皆さんにとてもお世話になりました。感謝です。

奥穂高岳南稜

2019年5月3日~5日
谷水(記)、右田

岳沢から奥穂へ突き上げるクラシックルート、ここを登れればわざわざ涸沢の人混みを経由せずとも穂高連峰の中心から山々を眺むことができる。八峰で味わえなかった山頂からの絶景+達成感を求めて行ってきました。

コースタイム
5.3(金) 沢渡駐車場=上高地(1435)-岳沢(1620)
5.4(土) 岳沢(0430)-南陵取付き(0510)-トリコニ―上部(0930)-(1150)南陵の頭(1220)-奥穂高岳(1230)-(1415)涸沢(1430)-横尾山荘(1610)
5.5(日) 横尾山荘(0510)-上高地(0725)=沢渡駐車場

行動記録
5.3(金)快晴
0830に東村山駅に集合し、出発。この時既に高速では渋滞が発生していた。断続的に17km、もし上高地到着が15時を過ぎるようなら小梨平に泊まろうか、と話しながらGW渋滞に突っ込んだ。心配は外れ予定通り岳沢まで行くことができたのでまず一安心。思っていたより岳沢は空いていて、テントは2段目が埋まる程度しか張られていなかった。
右田さんはビール、自分はCCレモンで明日頑張ろう!と前夜祭を行った。

5.4(土)快晴
岳沢の朝は早い、トイレに近かったせいか0100位から既に人が動き出し、0200には調理を始めるご近所さんが多くいた。そんな中でも0300まで寝て、自分達も準備を始める。アルパイン装備を整えて、朝日とともに出発。・・・出発前に今一度地図を見ておくべきだった。前のトレースにならってしまい奥明神沢へ入ってしまった。100mほど登ったところで間違いに気づき、重太郎新道をこえて前穂高沢へ。顕著なトリコニ―を見つけてそちらへ移動する。30分ほどロスしてしまい、右田さんに平謝り、優しく許していただきありがとうございます。始まりからすみませんでした・・・。
 0500にはトリコニ―基部に2人見えた。自分達は今日の2番手のようである。後ろから4人来ていたので休憩そこそこに南陵にとりつく。始まりは草が見え隠れする階段状の岩場、雪融け水にかからないように左側から登る。そこから右上するように雪壁をガシガシ登り高度をかせぐ。天気予報通り快晴でまったく寒くない、のだが日の当たるところの雪が既に腐り始めており潅木帯に逃げる。ジャングルジムのようで楽しい。潅木帯を超え雪稜を少し行くとピナクル右手に到着する。斜度に緩急あれどずっと続く登りに息が上がる。1つ目のピナクルは右手から巻き次のピナクルを目指すが、途中の雪稜に短いが垂直に近い傾斜+尾根を滝の落ち口のように乗り越える ところがあり念のため右田さんをロープで確保し肩がらみビレイで登ってもらった。乗り越えたところで休憩をとる。空は深く青く抜け、上高地も乗鞍も見える絶好のロケーションだった。ここで後ろからソロの男性が追い付き先に行ってもらう。この方は次のピナクルを左から登ったが、自分達は右から登る。見た感じ階段状だったのでロープは出さず、必要な時に声をかけてもらうことにして出発。Ⅱ級の岩場ということでホールド、スタンスは十分にあったが全装備が入ったザックが重い。少しすると右田さんから「ロープください」と声がかかったため、安定した場所まで登りロープを右田さんのところまで投げて確保、ビレイした。

右上の岩場を過ぎれば稜線まであとちょっと

トリコニ―が終わり少し雪稜を行ったところで休憩。登り始めて4時間ほどで600mほど高度を上げていた。これなら午前中に南陵の頭に出そうであるので、順調に進んでますねと談笑する。快晴無風でいつまでも尾根に居られるが、いつまでも居るわけにもいかないので出発する。目の前に立ちはだかる雪稜を一段超えると岩場?(夏ならガレ場)に出る。雪稜ばかりでは飽きてしまうのでちょうどいいアクセントである。それをこえたらもう目と鼻の先に見える稜線までガシガシ歩くのみである。そして、遂に、看板のある南陵の頭に到着!稜線上も快晴無風という最高のコンディションだった。
 奥穂が初めてだという右田さんと山頂社の前で記念撮影し、思い残すことをなくしてから涸沢、横尾まで下山した。この日も右田さんビール、自分はCCレモンで成功を祝った。

大分/宮崎/鹿児島の沢

2019年4月27日~5月5日
中和(単独、記)

今年は雪が少ないので、連休に雪稜に行く気分が盛り上がらない。沢でも行こうかと思って情報収集していると、九州本土三大ゴルジュなるパワーワードが目に入った。由布川、祝子川、石並川を指しているらしく、いずれも面白そうであったので、調べた翌日には九州行きの航空券をポチっていた。
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概要:大分/宮崎/鹿児島の沢

・石並川水系 本流ゴルジュ前半部/丸木谷
・五ヶ瀬川水系 祝子川 (大崩山荘より上流)
・大分川水系 由布川 (敗退)
・天降川水系 霧島川左俣

行動記録:

4/26(金) 晴れ
移動日。飛行機とレンタカーで石並川の入渓点に移動。

4/27(土) 晴れ
毛谷橋(07:10) – 丸木谷出合(09:55) – H200mコンクリート橋(11:55) – H450m林道(14:29) – H600林道(15:15) – 毛谷橋(17:34)

最初の遡行は、宮崎市から近い石並川を選択。泳ぎの沢として知られるが、逆に言うと泳ぐ事に終始して、滝が殆ど無いそうな。そのため、本流ゴルジュの中間部から、滝を多数持つ丸木谷へ継続することにした。

橋が2本連なる入渓点は、青黒い淵となっており薄気味悪い。河川名の由来である柱状節理の川岸を歩いて行くと、すぐに淵が連続して泳ぎが始まる。水勢は弱いので、ライフジャケットを着ていれば遡行は難しくないが、淵の一つ一つが長い。50m以上あるものが幾つもあり、丸木谷出合までのゴルジュ前半部だけでも普通の沢登りの数十倍の水泳量になる。水温も高いとはいえ、ウェットスーツ無しで遡行するのは、かなり消耗すると思われる。

石並川は泳ぎまくる

丸木谷は4mの直瀑で出合うので惑うことない。出合のF1は難しくないが、直上のF2は柱状節理の岩壁に囲まれ、大水量を巨大な釜に叩き落としている。登れる訳もなく左岸を巻くと道路に出てしまったので、適当な所から沢に復帰した。丸木谷は石並川本流のように長い淵こそ少ないが、釜や淵を泳がないと滝に取り付けないため、支流とは思えない水泳量だ。

丸木谷F1とF2
泳がないと取り付けない滝が続く

標高200mでコンクリート橋が上を横切ると、滝が増えてくるが、やはり釜は大きく泳ぎは避けられない。小さな滝であっても、釜からの這い上がりが出来ないと高巻きに追い込まれることもあり侮れない。中流域に入っても、衰えない水の豊富さに驚き入る。

水から這い上がれず高巻き

標高450m程で林道と交わると、さすがに水量も減って泳ぐような釜は無くなってくる。標高600mでコンクリート橋が横切り、源流までの標高差が100mを切ると渓相も落ち着いてきた。当初は沢泊の予定だったが、中途半端な時間と場所なので、林道と舗装路を歩いて下山した。

4/28(日) 晴れ
大崩橋(07:08) – 大崩山荘(07:30) – 8m滝(10:10) – ゴルジュ終了点(13:45) – 宿泊地(15:15)

続いてやってきたのは祝子川。大崩山には、出張の空き時間にハイキングに来たことがあるが、小積ダキ、広タキスラブのスケールに圧倒され、地元のクライマーが「瑞牆は本州の大崩」とまで言うのは、身びいきではないと思い知らされた記憶がある。

祝子川は、大崩橋から入渓しようと息巻いていたが、橋のすぐ上にF1からF3が連続しており、F2は到底登れる気がしない。おとなしく登山道を歩く。
このままゴルジュ入口まで登山道を進むのが定石のようだが、下流部の巨岩帯を含めて遡行したかったので、大崩山荘から入渓したが、すぐに一軒家サイズの巨岩にぶち当たる。入渓早々に登山道に戻っての高巻き。この上も巨岩がゴロゴロしており、迷路のような渓相をボルダーで越えていくので意外と遡行に時間がかかる。

巨岩帯

湧塚コースが横切ったあとは、岩は小さく、ナメの川床になり、核心のゴルジュが近いことを感じさせる。簡単に巻けるところも、なるべく水流通しに行きたいので泳いで越えていく。核心とされる8m滝も水流沿いに行きたいところだが、水流右側にリングボルトはあるものの、ピンが抜けているのか1ピン目に全く届かない。フリーで登れる代物ではないので、右岸スラブから巻きにかかる。

8m滝

右岸の高巻きは、一段高い場所にエイド用のボルトが残置されているが、ショルダーしないボルトまで上がるのが難しい。リングボルトは無視し、少し手前にあるクラックとスラブを登る。カムとトライカムでビレイ点を作り、アブミを使ってクラックを乗り越せば、あとは灌木帯まで8m程度の草付スラブ。足が豊富で簡単だが、クラックから灌木までは支点が取りずらくランナウトする。

クラックとスラブを巻く。右奥上に残置ボルト

灌木帯から懸垂して沢に復帰すれば、ハイライトである最狭部。釜を泳いで巨岩をフリーで超えていくと幅40cmのゴルジュ。間違いなく今まで遡行した沢で最狭。ここまで狭いと逆に通過が容易なので、ステミングで楽しく超えていく。

40cmゴルジュ

さらに進むと両岸立ったスラブに挟まれた、2m強のヌメヌメCS滝。左側から登ろうとしたがヌメって立ち込めず釜ポチャ。右側をハンマー投げとエイドで突破しようとしたら、ハンマーが外れて再度フォール。後続パーティに追いつかれたため、先を譲ると左側をフリーで超えていったので、ムーブをパクらせて貰い突破。ありがとうございます!

2m滝

ここを超えれば平穏な渓相となり、後から来た地元パーティはここで遡行終了するようだ。自分は鹿納谷へ継続したかったので三里河原を進み、適当な場所でツェルト泊。ゴルジュの上は、基本的にどこでも寝られる感じで薪も潤沢にある。

4/29(月) 雨
宿泊地(06:56) – 大崩山(08:21) – 二枚ダキ登山口(09:52) – 大崩橋(11:02)

鹿納谷・宇土内谷へと継続する予定だったが、天気が悪く、夜半から本降りの雨になってきた。花崗岩の沢は増水も早いので撤退を決める。三里河原を詰め上がり、大崩山から二枚ダキ登山道で下山した。この登山道は荒廃気味でヘッデン下山には不適。

4/30(火) ~ 5/2(木)
天気が悪かったり、寝坊したりでハイキングしたり観光して過ごす。

5/3(金) 晴れ
田代橋(08:02) – 宗津川出合(09:49) – 2m滝(10:56) – 脱渓点(13:15)

この日は、最難と思われる由布川ゴルジュに入る。6時に起床し、谷ヶ淵(朴の木)探勝路に脱出用のロープをフィックス。ウエットスーツに身を包み、田代橋から入渓。
下流の来鉢橋は、水流が茶色で泡も浮いており非常に汚かったので、田代橋に入渓点を変更したのだが、ここも相変わらず小汚い。膝程度の水深でも水底が見えない上に、10分に1本くらいのペースで甲類焼酎のワンカップが流れてくる。ほぼ全てがメルシャンの三楽なのは地域性なのだろうか。著しく気が乗らないが、泳ぎを交えて遡行していく。

水は非常に汚い

渓谷は両岸から竹や樹木が覆いかぶさって陰鬱だが、側壁は20m以下でそこまで圧迫感はない。途中、苔むした日本庭園のようなナメや、人工的に作られた水路のトンネルがあり、中々癒やしの雰囲気だと思う。

日本庭園
水路トンネル

渓相が激変するのは、宗津川出合の手前あたりからで、両岸が極端に立ち始めて薄暗くなる。淵は深く・長くなり、全く足がつかない200mを超える長大な淵まで出てくる。暗く屈曲した廊下で長距離の泳ぎなので、ライフジャケット無しでの遡行は考えたくない。幸い水流は弱いのでラッコ泳ぎでも容易に進めるが、この泳法は前が見えないのが欠点。何か臭いと思って体を反転すると、上流から猫だか狸だかの死骸が流れてきた。トロ場には三楽のワンカップも大量に浮いており、本当に汚い川だ。

長大な淵
長大な淵が続く

淵を泳ぎ切ると、過去には倒木が引っかかっていたという2m滝だが、倒木は既に失われている。倒木にカムやハーケンを決めて突破していたようだが、無いものは仕方ない。
滝の左側をトライするが、水流強すぎて這い上がるどころの話ではない。滝の右側は、水中の岩に足が付くのでショルダーなら突破できそうだが、一人ではホールドのないヌルヌルの岩に歯が立たない。右側にカムを打ってエイドしたいが、#3のカムでも決まらず、これも不可。前進用にジャンピングするのは避けたいので、ハンマー投げをするが、全く引っ掛からない。15分以上トライしたが、ハンマーはかからないので撤退を決めた。

汚水のような長い淵を流れ下り、田代大橋の数百メートル上流から、木の根を頼りに無理やり脱渓。這い上がった場所は、鯉のぼりが泳ぐ民家の横。不潔で陰鬱な空間から、一転してのどかな風景となる事に現実感が湧かなかった。

5/4(土)
新湯温泉(07:12) – 新燃橋(07:40) – 両滝(07:58) – 韓国岳避難小屋(10:49) – 韓国岳(11:23) – 大浪登山口(12:48)

当初は霧島のゴルジュ沢を遡行する予定だったが、由布川に完敗したので、ウェットスーツ着て遡行するような沢をやる気分にならない。もう少しお手軽な沢ということで、霧島川左俣を選んだ。登山道に詰め上がるので、帰るのが楽ちんなのもポイントだ。

入渓点は新湯温泉から林道を30分弱歩いた新燃橋から。橋の銘板と温泉の取水パイプがあるので間違えようがない。ミルキーブルーの特徴的な沢水の色だが、由布川のような排水による濁りではないので不快感はない。序盤はちょっとした滝や釜があるが特に難しいものはない。取水パイプや作業道があるため沢中を進む必要はないが、折角なので水流沿いを遡行していく。

ミルキーブルーの渓谷

地図にも載っている両滝は、見るからにボロくヌメリそうだ。最初から登る気もなかったので、右岸を簡単に巻く。ここから上流は、源流部まで延々と風倒木が埋め尽くすアスレチック会場になっている。ひたすら倒木を越える作業が続き、とにかくストレスが溜まる。ナメ床になって快適に歩ける所も数百メートルくらいはあるが、あとは倒木だらけの谷なので、遡行価値は見いだせない。

春の倒木まつり

水が枯れると倒木も消え、安山岩のナメ床、小石の河原へと変化する渓を淡々と歩くだけで韓国岳避難小屋に出る。このまま下山しても良かったが、貧相な沢で消化不良なので、韓国岳まで足を伸ばしてみた。
もっと静かな山なのかと勝手に思っていたが、登山道も山頂も人だらけ。何でこんなに人がいるんじゃいと思って、下山後に調べてみたところ、何でも霧島連峰は日本百名山であり、韓国岳がその最高峰だそうな。山自体は素晴らしいが、さすがに人が多すぎる。石氷川や霧島川などの沢から韓国岳にダイレクトに詰めれば、静かな登山が楽しめそうだ。

九州最後の沢が、とんでもないスカ沢に当たってしまったが、霧島にはハードなゴルジュが幾つかあるようだし、本土以外に目を転じれば屋久島もある。九州南部は再訪したいエリアだ。

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由布川、祝子川、石並川のいずれも山深さはなく、入脱渓は容易なのでゲレンデ的に遊べる。だけど由布川は遡行難度が高い。ショルダーが使えない単独の場合、田代橋から谷ヶ淵探勝路にたどり着くだけでも、相応の遡行能力が必要になりそうだ。この沢の核心は、谷ヶ淵探勝路より上流の「みこやしき」「めがね」「めくら」の各滝なので、まだまだ実力不足だったか。

剱岳八ッ峰

2019年4月28日~30日
赤井、田中、柴田、谷水(記)

去年は劒沢であえなく撤退した、劒岳八峰にリベンジした。今年はどこまで行けるのか?
GW前半4.27-5.1で計画していたが、27日まで天気が悪いということで出発を1日遅らせることに。また、晴天は2日しか続かないということで、黒部ダムからでなく、室堂から早く八峰に取り付けるようルート変更となった。

コースタイム
4.28(日) 扇沢(0630)=室堂(0825)-雷鳥沢キャンプ場(0915)-(1035)別山乗越(1115)-(1255)長次郎谷出合い(1315)-1・2のコル(1625)
4.29(月) 1・2のコル(0510)-4峰(1035)-5・6のコル下(1230)-(1340)長次郎谷出合い(1350)-劒沢キャンプ場(1630)
4.30(火) 劒沢キャンプ場(0640)-(0910)室堂(0945)=扇沢(1130)

行動記録
4.28(日) 晴れ
前日の夜に扇沢まで移動し、トイレ近くでビバーク。明け方前から人通りが多く0500に目が覚める。そのままテント撤収し、室堂へ行くため乗り物の行列に並ぶ。0630の始発というのに観光客も多い。前日までの雪のためか、扇沢も黒部ダムも去年より雪が多い。これはトレースがないとラッセルが大変そうだ・・・。
室堂は快晴で既に多くの登山者が先を行っていた。トレースばっちりの中、別山乗越までノーアイゼンで行けた。田中さんと柴田さんの足は速く、あっという間にみえなくなってしまった。別山乗越で集合し、アイゼンをつけてここから長次郎沢出合いまで800mの標高差を下る。乗越までトレースばっちりだったので、剣沢にも何パーティが入っているだろうと思っていたがスキーヤーしか入っておらず、しかも最近降った雪がやわらかく膝ラッセルで、単調な下りだが全然楽でない。アイゼンは靴につく団子を大きくするだけではく必要はなかった・・・。

1/2のコルへの登り返し

長次郎沢から今日の目的地1/2のコルまでは700mを登り返す。今日はアップダウンがいちいち激しくていいかげん嫌気がしてくる。この剣沢の下りもだったが、登り返しでも田中さんと柴田さんのパワーが発揮された。途中からデブリの上に積もった雪にさらに足をとられてしまう。天気がいいことだけが救いであるが、風もないでの暑いことこの上ない。300mほど登った2200m付近から右手の八峰にとりついた。傾斜を見ながら右手よりに高度を上げる。途中ダブルアックスになりながら、日没前にコルに着くことができた。
しっかりとした風よけつきのテントサイトができて、中に入るころには日没になっていた。
4.29(月) 晴れのちくもり
いよいよ八峰縦走がスタートする。自分達のパーティだけの貸し切り贅沢旅である。アルパイン装備を整えて出発する。
2峰
赤井さんがロープをつけて下り始める。尾根通しには進めず北面側のブッシュまで少し下り尾根に登り返した。中2人はロープにカラビナを通し、3人目はビレイされ通過。
3峰

八峰全貌

柴田さんトップで進み、下りでロープを出す。落ちはしなさそうだが、もし落ちたらと思うとアックスを握る手に力が入る。懸垂支点見つからず、這松から支点をとる。そこから40mほど懸垂し、3/4のコルへおりたつ。
4峰
4峰へ登り返すと細いリッヂに出る。足を滑らせれば一気に谷底に落ちるため慎重に進む。自分がリッヂに乗ろうとしたところで50㎝位真下に沈んだ。運よくそれだけで止まったが、怖さで全身に鳥肌がたって頭の先から抜けていった。後続の田中さん、柴田さんにも見られ2人ともドキッとしたそうだ。なんとかリッヂをこえ一安心。少し下ると枯れ木にスリングがかかっている。4/5のコルはすぐ右下に見えていたが、岩が露出しており微妙に悪いので30mほどロープをのばし懸垂。
5峰
5峰を登り切った時既に12時近く、今日中に稜線へは抜けられそうもない。明日の天気は崩れる予報で、裏付けるように遠くに怪しい雲が立ち込めている。残念だが今回の縦走はここで打ち切り、長次郎谷へ降りることが決定される。5峰の頭から向かいに懸垂支点が見えた。残地スリングに赤井さんのスリングを足して30mほど懸垂して次の懸垂支点へ移動。60m一杯伸ばして懸垂。少しくだってもう一回60m懸垂して長次郎谷に戻った。

5峰を見上げる

振り返り八峰を見上げると、稜線までもうちょっとのように見える。そのもうちょっとが遠いのが残念だ。次来る時は5/6のコルからでもいいかな、とか話しながらたっぷり休憩をとり、デブリの長次郎谷を下りきった。下ったら剣沢まキャンプ場まで登り返す。昨日とは逆の行程を行く。沢には小規模だが新たなデブリが発生していた。劒沢につくころには暗雲に追いつかれていた。
剣沢でキャンプするときはトイレが整備されているので、その周辺でと県警の方からご指導いただきました。最初そこからかなり下の小屋の近くで準備していたら、雪融け後のトイレ処理の関係で場所の移動をお願いされました。

4.30(火)
夜から雪が降っており、朝も天気は悪かったが視界は比較的良好の中室堂まで移動した。別山乗越近くは風が強く吹き飛ばされるかと思ったが、雷鳥沢まで行けば穏やかになり雷鳥沢から雷鳥荘までこの山行最後の登り返しを終えた。

リベンジ山行ということで、前回より先に進めたのは良かったです。天気もよく他パーティもいず、広い劒を独占できたかのような気持ちのいいものでした。ラッセルを男性陣に頼ってしまったので自分もできるように成長していきたいです。ありがとうございました。

南ア 丸盆岳東尾根

2019年4月13日~14日
谷水(単独、記)

雪が溶けてきたので藪山のシーズンに入ったかな、と思い南アルプス新南部に行ってきました。

コースタイム
4.13(土) 寸又峡駐車場(1000)―千頭ダム(1140)―天地吊橋(1150)-幕場(1620)(1650m付近)
4.14(日) 幕場(0650)―丸盆岳(0840)-(0930)幕場(0940)―吊橋(1220)-(1240)千頭ダム(1250)-寸又峡駐車場(1340)

行動記録
4.13(土) 晴のち曇
夢の吊橋で有名な寸又峡、その奥にある秘境ダムとして知られる千頭ダム、歩くと2.5hかかるが立派な林道が通っているので、自転車を持ち込んで移動した。途中前黒法師岳登山口方面に迷い込んでしまったが、それでも1h短縮できた。
天地吊橋の両端のワイヤーは新しかったが、底板が古くギシギシなり2/3あたりでパキッと鳴ったのはこの山行で一番怖かった。下西河内沢をわたってすぐに東尾根に向かって直登する。ガレの道を立木を使いながら300mアップ。なだらかな尾根を西に進み続けると1200mあたりから雪道に変わる。かなりの数の鹿がいるようで、人間のトレースはないが鹿のトレースが縦横無尽に走っている。気にせず歩いていたが積雪がくるぶしより上にくると、靴への浸水無視できないほどになり沢歩きをしているような状態に。16時で日が陰ってくると、動いていても足が冷たくなってきてしまったので、1620mのなだらかな場所で幕営とした。

4.14(日) 曇のち雨
靴が乾くはずもなく天気も悪い。千頭ダムまで周回すると足先が死んでしまうと思い、丸盆岳の往復にすることにした。1700-1800m付近は笹原の雪原で天気がよければ気持ちのいい場所に違いない。ここにも鹿のトレースがあり、なかなかいいルーファイをしてくれていた。ついついトレースを使わせてもらいながら標高をかせぐ。笹原が終わると膝下の積雪になり、こんどはウサギのトレースになった。頂上直下はこの尾根で一番なだらかで、方角を確認しながら進む。ひょっこりと山頂に出た。視界なく、風も吹いていたので早々に下山する。風にあたると足が冷たい。午後は雨予報だったため、急いで下る。あと100で天地吊橋、というところで行きで使用した尾根を外してしまった。最初はトラバースで元に戻ろうとしたが、面倒になり下西川内沢に降りた。すでに靴も靴下も濡れていたため、躊躇なく沢をわたり千頭ダムに戻った。

寸又峡周辺は未開の地だったので、どんな景色が見られるかと思ったが隣の尾根がチラリと見える程度だった。しかし秩父にはない笹薮漕ぎができて、トレースをつけながらの山行に満足できました。

2019城ヶ崎

2019年3月28日
河合(記)

今冬の城ヶ崎トラッド

今冬は、一切雪を踏むことなく城ヶ崎に通いました。仕事忙しくて冬山の体力作る暇なかったとか言い訳はありますが、結局は城ヶ崎のトラッドが魅力的ってことに尽きるかなと思います。今年のテーマは「ルーフと3D」。でも、ついたのは腹筋と体幹でなくて腹回りの贅肉な感じがしてヤバイ。
前置きはこれくらいにして、今年完登できたルートを、南のエリアから順に紹介します。全くの個人的な感想兼備忘録で、ムーブ書いてたりするので(実際トライしないと意味不明と思われますが)、オンサイトに拘る人はこの下をスクロールしないことをお勧めします。

[浮山橋]
・バナナラマ5.10b(体感5.11a)3日5便
昨シーズンの宿題。このエリアで「グレード上」一番簡単なルート。大事なことなのでもう一度書きます。「グレード上」。登ったという話を全然聞かないこのルート、昨シーズンはフォローでノーテンだったので、今年はすんなり登れると思ったのだけど・・・スコーピオンのトライ後、ワークアウトで触るも落とされ続け、気がついたら10台のルートで人生最多日数便数に。ムーブが悪くて10台前半ではなく、わかりにくさも合わせればイレブンありそう。自信のついてきたトラッドクライマーの鼻をへし折るのに最適で、知人の5.12クライマーはトップアウトできませんでした。岩は申し分なく固くて、プロテクションも見落とさなければ問題ないです。終了点はないので、エイドダウンがオススメ。トップアウト後に左にトラバースして少しダウンクライムすると潅木がありますが、無理やり終了点作ってフォロー回収すると、ロープが激しく重くてしんどいです。・スコーピオン5.12b(体感5.12b)5日12便
マリオネットとセットで、1日1便2日間冷やかしで触りましたが、ムーブが作れませんでした。マリオネットが終わった後で、1日4便、5便と集中的にトライしたところムーブが作れて、その後登れました。ムーブはかなりトリッキーで、最適ムーブを見出すのに苦労しました。さらに、出だしのフィンガートラバースが悪く、私はここで苦戦しました。でも、ムーブさえわかればトライしているうちに楽になる系で、2箇所ある核心のムーブ強度は高いものの、回復するレストポイントも要所にあり、マリオネットよりストレニュアス性は低いと思います。ハンドジャムの連打、痛いフィンガージャム、ヒールフック、クロスハンドジャム、足先行、コウモリノーハンドレスト、ルーフ腹筋、フィンガーボトミング、クロスハンドジャム、カチ、クロス・・・とにかく多彩でジャミングと3D要素満載、登っていてとっても楽しいです。プロテクションも番手が決まれば不安なく、思い切りトライできます。今まで登ったトラッドルートの中で、最高に面白かった!マリオネットより半分?1グレード位難しく感じたので、マリオネットが5.12aなら、5.12bで妥当なんじゃないでしょうか。トラバースルートなので、要フォロー回収。結構人気ルートなので、他パーティいた際は上手くやって下さい。
[アストロドーム]
・マリオネット5.12a(体感5.12a/b)5日10便
昨シーズンの宿題で、2日通ってムーブはバラしたけれども、その後はコンディションもパートナーも掴めず、登れませんでした。今年は極寒の1月にアストロインしてトライ。とにかく全身を使うルートです。正面から見るとわかりませんが、傾斜はほぼルーフ、チムニー登りで傾斜を殺しながら、最後のパンピングハンドジャムへと繋げます。当然、要フォロー回収。私のムーブだとガバとハンドジャム以外存在しませんでした。2箇所目のレストポイントにダメージ少なめで入れないと、最後に待ち受ける核心で落とされること請け合いで、ストレニュアス。ほんとよくできたルートだと思います。初めてトライした人は大体ヨレヨレのマリオネット状態になって降りてくるのが、名前の由来か。プロテクションは良いですが、チムニー内の不意落ちで頭打たないよう注意。ヘルメットは、頭も(物理的にも本来の用途でも)使うのでオススメできません。アストロ同盟結成するか、道連れを捕まえてレッツゴー![シーサイド:サンライズエリア]
・アーリータイムズ5.10c(体感5.10c/d)1日2便
アップのつもりで登ったらうっかり落ちてしまいました。核心は見た目通りの場所で、クラックに固執すると10cでは済まない印象。要所で休めてワンポイント悪い系で、ストレニ性はないけれど、初見はわかりにくいと思います。蛇足ですが、隣の腰痛5.12bもどうやらワンポイント極悪系の模様。驚くほど足がない![シーサイド:サンセットエリア]
・サイクロン5.11c(体感5.11c)2日2便。
人気ルートのシンデレラボーイの横にある迫力あるルーフクラックを、フッキングで抜けるルート。あんな所にあんなホールド系。プロテクションも良いですが、傾斜強すぎてフォロー回収しないといけないのがちょっと面倒なのと、抜け口のカムスタックに注意。ジャミング要素は出だし位しかなく、核心は全くもってフェースムーブ。・赤道ルーフ1p目5.10c(体感5.10d)1日2便。
雨で他のルートがほぼ全滅していた時にトライしましたが、ヌメりでかなりおっかなく、たまらずテンションしてしまいました。これも全くジャミング要素はありません。そこらへんのアップで使うボルトルートより、ずっとパンプできます。カムがクラック内で開きやすいので、ご注意を。これも要フォロー回収。

(右は人生楽ありゃ苦もあるさ)

・赤道ルーフ2p目5.11b(体感5.11b)2日4便
1p目から繋げる元気はなかったので、チェシャ猫5.10dから継続。核心を抜けてパンピングアイアンⅠに合流する寸前、ヌメリに負けてテンション。トップアウトせずにその後トライを重ねたら、RP時にパンピングアイアンⅠとの共通部分がわかり辛くて泣きそうになりました(パンⅠ登ってない)。内容はサイクロンに似ていてジャミング要素なしのフッキング系、ムーブはサイクロンより易しいです。その分高度感はあって、プロテクション決めたら突っ込む系なこともあり、結構緊張しました。パンⅠ共通部分を一発でこなせる自信があるなら、トップアウトせずにエイドダウンがトライするのに効率的と思います。・人生楽ありゃ苦もあるさ5.9(体感5.10a)フラッシュ
これも雨で他のルートがほぼ全滅していた時にトライしましたが、ヌメりで最後のランナウトが怖かったです。アップに使うのは隣のチェシャ猫5.10dの方がいいなぁ。

[なみだち]
・アルタミラフェイス迷いルート5.10d(体感5.11a)フラッシュ
タコで腕が攣りかけた時にワークアウトでトライ。1つあるボルトまでは5.10a位で易しいけどプロテクションが悪くて、エイリアン黒が足元に。ボルトから先が分かりづらい核心で、名前の通り迷わないよう突っ込むしかないです。ボルトは多分まだ生きているけどドカ落ちはやっぱ怖い。核心は完全なフェースムーブの辛口ルートでした。・タコ5.12b(体感5.12a)3日6便
前傾135°の綺麗に割れた迫力あるクラック。日本で初めて登られた5.12のクラックとのこと。名前がかっこ悪い。内容は、核心で10手ちょっと、息つく暇もなくジャミング時々ジャムっぽいフェースムーブの、真っ向勝負のクラックルートでした。厳しいシンハンドという人が多いけど、私には悪いタイトハンドとバチ効きフィンガーでした。ジャミングの決まりの良い場所は限られ、遠い点と点をデッドポイントジャムで繋ぐ核心ムーブが厳しいです。核心は左手出しの人が多いようですが、私は右手出しでした。核心は低くてあまりパンプしてない状態でムーブが起こせるので、ムーブさえ決まれば登りやすい印象。プロテクションも良いですが、1個抜けるとグラウンドフォールの危険が常につきまとうので、確実に決める必要あり。年末に1便触って、2月末に真面目に始めましたが、めちゃくちゃ混んでいて、7人待ちまで!いつの間にか人気ルートに!?[日蓮崎]
・イブ5.10d(体感5.10d)1日2便
短い幅広フィンガールート。オブザベしていた時は「全部レイバックすりゃいいんじゃね」と適当なことを考えたけど、無理でした。オンサイトトライは、カムの番手を間違えて撃沈。カムを決めてから一度クライムダウンすると、その後登りながらカムを決めずに登れる位には短いですが、しっかりシビアなジャムがあって面白かったです。

右はスーパーシリアスジャム

・スーパーシリアスジャム5.11a(体感5.11a)2日4便
昨シーズンの宿題。覚えてなくて、今シーズンも2便出してしまいました。内容的にはフェース要素が強く、クラック限定で登れば良い練習になるかも。フェースを使うと、大してシリアスなジャムにならないのが残念でしたが、マイクロカムで遊べました。

[門脇崎]
・ホシナクラック5.11d(体感5.12a)5日16便
昨シーズンの宿題で、4日間通ったけど、3月の日を追うごとのヌメヌメ地獄に屈して詰めきれず。今シーズン1便目で、足切れまくったけど辛うじてRP。最初は悪目のフィンガージャムですが、カムをセットしてからはフェース力の問われる難解な4手の核心が待っています。ムーブ作りは初見では難しく、カムが1個でも抜けたらグランドフォール可能性大でセットもヨレる、良いコンディションを待つことが必要、付き合ってくれる心優しいパートナーも必須と、色々厳しいです。個人的には5.12aあると思っています。とにかく日当たりが良すぎて、日中は2グレード位上がって登れる気がしないですし、波が高いと取り付けません。そして何より、ホシナ以外あまりルートないのでビレイヤー核心。なお、下降箇所は観光地ど真ん中なので、朝1でさっさと降りてしまった方が良くて、奇声も上げない方が良いかと。下降支点作るときは、特大の6番キャメロットがあると安心感があるのでオススメ。同じフィンガークラック+フェースムーブのルートでは、イムジン河5.11c/dよりずっと難しく感じた、辛口クラシック。[もずがね]
・リサイクル5.11b(体感5.11a/b)オンサイト
似たようなルートのJuly・ザ・ダディよりわかりやすくてムーブもマイルドでしたが、しっかり悪いハンドジャムが要求されました。ほとんど登られていないようで、実質は下部のルーフ脱出まで。上部は5.9位ですが土が乗っていたりもげそうな岩があったりワイルドなので要注意。終了点は立木で作れ、遊歩道から回り込んで回収できます。出だしは壁の一番奥から始めた方が充実します。【ついで1:ボルトルート】
[アストロドーム]
・ジーマ5.12a(体感5.12a/b)2日7便
アストロドームの、マリオネットの対面の一番海側にあるボルトルート。波が高い日は取り付けないです。ボルトがまだ生きてそうだったのでドカ落ちしない程度にトライ。ボルト5本の短しい系。大体ポジティブなホールドですが、ホールドが遠くて初っ端からボルダームーブが連続、意外と腕が吸われて便数かかりました。【ついで2:ボルダー】
[富戸ジャクソンボルダー]
このボルダー、江戸城の築城のために切り出された石のようです。そのためルートは大体、過去に割られた面のホールドから構成されています。太刀岡山のカリスマ下部みたいな感じでしょうか。なお、名前の由来の?ジャクソンの青文字はもう消えて無くなっています。アプローチ1分、ルートも初段前後にまとまっていることもあり、いつも人の絶えない、人気エリア。昼間は日当たりが良すぎてヌメるので、朝夕がオススメ。

・馬の魂3級(体感2/3級)2日
昨シーズン、サーマレストスタイルで突っ込めなかったので、マット借りて登りました。ちょっと分かりづらい感じ。・馬の魂var.1級?(体感2級)フラッシュ
下部アンダーガバ(多分赤丸部分)を使わない限定とのこと。ムーブが変わって面白かったけれど、グレードがそんなに変わるとは思えなかったです。

・富戸の冬1/2級(体感2級)1日
スタートの左手薄カチが、ヌメるとロックできなくてきつかったです。岩が冷えたら登れました。右手出しでも、左手出しでもいけそう(私は右出し)。登った日は頂点にある鳥の糞を避けるのが核心だったかもしれない。・富戸の春初段?(体感1級)2日
トライ開始した時すでに2手目のカチが欠けていて、2日目には完全になくなってサイドガバが出現していました(写真左の赤丸)。元々シカーで固めていたので、しょうがない。カチれる範囲が狭くなったので、オリジナルムーブでは難しくなった気がします。私はオリジナルムーブではできず。しかし、欠けたためサイドガバが出現、左手で引いてレイバック気味に右手リップを一気に取れることが判明。このムーブだと初段あるか怪しいですが、バランス悪くて遠いので、結構難しい。・富戸の春var.2級?(勝手に仮称:オオサンショウウオの春)(体感2級)フラッシュ
上記の通りサイドガバが出現したため、右手を山椒魚側に簡単に出せるようになりました。このルートは、富戸の春と同じスタートで、山椒魚のガバカチ(上の写真の右側の赤丸)を右手で経由して、富戸の春のリップを取ります。手順変わって楽しいです。

・山椒魚初段(体感初段)2日
強烈なルーフを越えるこの岩の看板ルート。足位置に悩まされますが、ベスト位置に決まると安定してホールドが取れます。ヒールフックとトウフックどっちでも行けるようで、私はトウフックでした。後は気合でキャンパすれば核心終了で安心のカチ地帯です。面白い!

大源太山 コブ岩尾根、中央稜

2019年3月9日~10日
中和、玉置(記)

今シーズンは年内からなかなか冷え込まなかったが、駄目押しと言わんばかりに春の訪れも早かった。早くしないと標高の低い上越国境の雪山シーズンが終わってしまうので、雪が溶ける前にと慌てて大源太山のコブ岩尾根と中央稜に挑んだ。

3/9 土曜日 快晴
<行程>
清水集落5:45
丸の沢出合 8:03
丸の沢二俣 8:44
キャンプ地発 10:04
コブ岩基部 13:42
大源太山山頂 15:13
キャンプ地 16:59

前夜のうちに清水集落へ向けて出発。関越道で上越国境を超えた途端に思ったより雪があり、期待が高まる。清水集落に入ったあとは除雪終了点にて車中泊。1日前に降ったと思われる20cm程度の新雪があり、出発地点で積雪は1m程度だった。朝食をとって出発。最初からスノーシューを装着して歩き始めた。最初はなだらかな林道歩きでサクサク進めるかと思ったが、雪が深くなって来たのとトレースも山スキー以外なかったりでペースは遅れ気味。情けないことにほとんど中和さんに先頭をラッセルしてもらった。また、林道は法面からの雪崩でデブリがあったり、雪の斜面と化していてスノーシューには厳しいトラバースを強いられたりと緊張させられる場面が頻繁にあった。結局丸の沢出合まで2時間強かかった。丸の沢出合での渡渉は年によっては苦労するようだが今回はしっかりしたスノーブリッジがあり、特に難しいことはなく渡れた。丸の沢からはこれから登るコブ岩尾根の険しい山容がよく見えた。そう簡単に登らせてはくれなそうだ。しばらく進み、大畠の沢と丸の沢本流の間の小尾根を少し上がって、雪崩の心配のない平らな尾根上でテントを設営した。余分な荷物をデポし、出発の準備をした。この時点で午前10時ごろ。この先もラッセルが予想されるので、スノーシューを持っていくか迷ったが置いていくことにした。小尾根を下降し、大畠の沢を渡ってすぐ横のコブ岩尾根へ取り付いた。始めは急傾斜の樹林帯をひたすらラッセルで上がっていった。しばらくすると藪に覆われたナイフリッジが現れた。ナイフリッジをたどり、トサカ状のP2を過ぎると、藪の露出した60度程度の急な雪壁となった。藪をつかんで強引に登ってさらに進むとコブ岩が近くなってきた。コブ岩の手前は雪壁になっていたが、雪が深い上に所々クラックを踏み抜いてしまいなかなか進めない。なんとか突破しコブ岩基部にたどり着いた時点で時刻は13時42分となっていた。キャンプ地から標高差たったの500mを4時間近くかかった計算。コブ岩の正面は垂壁となっており、とても突破できるようには見えない。左側は急な藪となっており登れそうだ。近づいてみると傾斜は60度もなく、藪も豊富であまり難しいようには見えなかったので時間節約のためロープは出さずに行くことにした。取り付いてみると実際、先ほど越えた下部の藪壁よりも易しいように感じた。コブ岩を超えた後は恐ろしいナイフリッジと雪壁を越え、ひと登りで15:13に山頂着。下山は山頂から反対側へ2段降りて、大畠の沢源頭からバックステップを織り交ぜつつギャップを踏み抜きながらテント場まで下降した。

3/10 日曜日 晴れのち曇り
<行程>
キャンプ地 6:05
中央稜基部 7:55
大源太山山頂 13:16
清水集落 16:52

二日目は途中まで昨日の下山のトレースを辿り途中から分かれて中央稜基部へ向かった(写真2左側の尾根)。少しラッセルはあったものの、特に手こずることもなく順調に基部へ到達した。中央稜下部は傾斜50度程度のルンゼを挟んで2つの藪尾根があった。尾根上は藪が鬱陶しそうなのでルンゼの左端を登ることにした。取り付きで雪にクラックがあったのでスコップで雪を掘り集め足場を作って取り付いた。中和さんが最初先頭だったが、左の藪に入ろうとして手こずっていたので自分がルンゼを先行した。ルンゼ内はそこまで難しくはなかったが、相変わらず所々クラックがあり鬱陶しかった。幸いクラックが斜めに走っていたので乗り越しは難しくなかった。その後ルンゼの上部で左の藪へ入った。しかし、進むにつれて掴める木が少なくなり、さらに潅木の踏み抜きが酷くなかなか進めなくなった。自分がもがいているところに中和さんが追いつき交代してもらった。踏み抜き地獄で恐ろしいのでここからロープを出すことにした。もう一度自分が先頭でリードすることにして1ピッチ目。相変わらず藪の踏み抜き地獄とラッセルが続きゆっくり進んでいった。中間支点は豊富だが木を丸々一本掘り出したりといった土木作業で体力が吸い取られるピッチだった。ロープを50m以上伸ばし、傾斜が急になる場所でピッチを切った。次は中和さんリード。傾斜は60度弱でやや急になるが相変わらずの藪尾根。雪の踏み抜きは傾斜がきつい分少なかったようだ。気温がかなり高くなって来ているのを感じ、眼下で小さなちり雪崩が頻発している様子を見ていると轟音とともに左のルンゼでブロック雪崩が2回起きた。恐ろしい。こんなものを喰らったらひとたまりもないだろう。3ピッチ目は再び自分がリード。尾根を少し進んだ先に一箇所岩場があり、直登の可能性を探ったが直下の藪でとった中間支点からそれなりにランナウトしており、無茶はできなかったので大人しく左の藪から登って突破。その先の松の木でピッチを切った。最後の4ピッチ目は中和さん。最初は特に難しいことはない雪の斜面をトラバース気味に進み、小尾根に取り付いてまた藪登り。主稜線に抜けたところでピッチを切った。そこから山頂までは昨日のトレースを辿ってすぐ、下山もあっという間。あとはテントをたたんで、清水まで長いアプローチを戻った。中央稜は短いかと思っていたが、結果的にはコブ岩尾根より登攀要素は強く充実した藪クライミングとなった。帰りは途中まで河原を歩いたが、林道よりはるかに楽だった。堰堤に阻まれ途中から林道に戻ると、行きの時点で不安定そうに見えた斜面は軒並み雪崩れていた。

前回の戸隠P3尾根は敗退で悔しい思いをしたが、今回は無事に目標と敷いたルートを完登でき、充実した山行となった。しかし、中和さんにラッセルをほとんどお願いしてしまったので、まだまだ強くならなければいけないとも感じた。中和さん、ありがとうございました。

谷川岳 一ノ倉沢衝立岩中央稜、一ノ沢左方ルンゼ

2019年3月2日~3日
川上、山崎(記)

3月2日 谷川岳一ノ倉沢衝立岩中央稜
当初、土曜日は一ノ沢左方ルンゼ、日曜日に中央稜の予定でしたが、前日夜から小雪が舞っていたので、土曜日は衝立岩中央稜に変更。当日の天気は朝のうち薄曇りのち晴れ。
センター発500。一ノ倉沢出合600。左に一ノ沢を分けた先から本谷のデブリが現れ始める。テールリッジには末端からではなく、衝立スラブ側から取り付く。中央稜取り付きに800頃。
なお、この日の朝、知っている限りでは東尾根に1パーティ2人、三スラに1パーティ3人、一ノ倉尾根に1パーティ3人が入っていました。

1P目 川上。雪のついたスラブを左上。40m。中間支点は灌木などで取る。雪の下にハーケン。2P目 山崎。1P終了点から左にトラバース後、ルンゼ状を直上。25m。3P目 川上。本来なら右にトラバースして衝立側正面フェースに出るところ、真っ直ぐ上に見える残置物に導かれ烏帽子側フェースを直進後左上。30m位だったか。
4P目 川上。とても難しそうなので難所大好きの川上リード。下部は左面に手足なし。右側にあるリス、カチ、棚などを使うが、難しく突破に時間を要す。中間支点はハーケンあり。さらに上部は被った凹角で、挑戦するも突破は困難となり、最終的にはあの手この手でずり上がる。終了点はボロいスリングが巻かれた立木。

ボロいスリングの巻かれた立木

5P目 山崎。本ルートが走る烏帽子側正面フェース目指してルート修正し、本来のルート4P目チムニーの上に出る。そこから凹状フェースを登り終了点。25m。
6P目 川上。ルンゼ状から烏帽子側の開放的な凹角状のフェースを登る。中間支点ハーケンあるが、クラックが走っているのでトライカムなども使う。40m。
この時点で14時を回っていたのと、メインピッチは終わったということで終了とし、同ルート下降する。途中ロープの引っ掛かりなどあったが、15時頃には取り付き着。
この日の中央稜は我々のパーティのみでした。

3月3日 谷川岳一ノ沢右壁左方ルンゼ
当日の天気は朝から曇り。天気は下り坂でしたが、日中は何とか持ちそうな状況。
センター発400。一ノ倉沢出合500頃。一ノ沢に入って急な登りの途中、最初の二俣が現れるが、左手が一ノ沢本谷で、左方ルンゼには左を行く。右手からはルートミスしたのか、一団が続々と下ってくる。
取り付き着630頃。この日左方ルンゼに入るパーティは我々を入れて5パーティの大盛況。
うち山頂に抜けたのは3パーティ。
1P目取り付き。ロープ無くても行けそうだが、先行パーティの落とす氷塊が時折飛んでくるのでロープを出す。出だしだけ傾斜の緩い氷で、あとは2P目の氷瀑の前まで緩い雪面。40m。
2P以降は、特に難しくない滝を交代で登って行く。確か4P目。左側は氷が薄く、中央を行き、右岸側の立木にある残置まで。25mくらい。4P目終了点から下を覗く。4P終了点からは緩雪面。5P目手前までロープを引き摺っていく。本ルート核心の5P目チムニー滝。川上リード。確保支点は左岸側の岩角へ巻き付けたスリングやハーケンを打ち確保支点とした。乗り越えた後40mほどロープ伸ばし左岸側でビレイ。
滝は、左面に薄い氷が張っており、チョックストーンの左側を登る。それほど苦労せず突破できた(写真は現地で偶然会った友人に取ってもらったもの)。
その後、中間稜までは先行者の階段状トレースがあり、雪も締まって容易。
中間稜核心のナイフリッジもトレースがあったため難なく突破。一応スタンディングアックスビレイで確保。ナイフリッジ後はロープをしまい、東尾根に向けのんびり登って行く。ガスで真っ白のオキの耳には1200頃到着。天神平経由で1500には下山。